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4-1.(mis)understanding self-management

4-1-19 構造はどのように変化するか(How structures typically change)

構造のことは多く語っていません。どのように組織の構造はピラミッドから自主経営へと変わるでしょう?
いくつかの組織では小さなテストから始めていました。抜けたマネジャーの後任を置かないことにしてその仕事をチームで分担するのです。

フランスの運送会社がそうでした。人事ディレクターが別の部門へと異動になり、人事チームはトップがいないまま自主経営を始めました。同様の例は工場でも多く見られます。現場の作業員チームが自主経営を始めてマネジャーが不要となるのです。
これらの例では、あまり構造は変わっていませんが組織に自主経営チームが増えていくにしたがってたいてい大きく変わっていきます。組織の構造が根本的に変化していくのです。

今回は主に3つの変化を紹介します。
1つ目はほぼ必ず見られる変化です。以前は機能ごとに編成されていた組織が、機能を越えた横断的なチームになります。
多くの組織は機能で分かれています。マーケティング、財務、営業、製造といった部門です。それらの指揮系統はトップの経営委員会に集約されます。自主経営組織になる際はほぼ確実に、すべてを備えた小さなチームへの移行が起こります。オペレーションや調達などの機能や販売、営業、財務など各チームは顧客に対してすべてをカバーします。

ビュートゾルフでは看護師チームが顧客のすべてをカバーします。文字通りすべてです。顧客への対応や地域の病院との連携そして医師への連絡など何でもやります。
FAVIのような製造業者の多くはチームごとに1つの顧客に特化しておりFAVIではフォルクスワーゲン担当の営業が製造現場でチームと時間を共有します。フォルクスワーゲン製品の製造現場です。

それにより心理的オーナーシップが持てます。顧客と直接つながっているため責任感が高まるのです。従来の工場の形とは大きく異なります。普通作業員たちは営業の人間を目にしません。営業がシステムを導入してきて、作業員はシステムに従って内容も分からず製造します。

学校でも同じような例があります。たとえば高校のような学校組織の多くは部門ごとに組織されています。理科の教員チームがあり、国語の教員チームがあります。そして自主経営へと移行する学校の多くでは、全体が複数の“ミニスクール”に分かれます。
書籍ではベルリンの学校を紹介しました。6人の教師で3クラスを担当し“ミニスクール”を形成します。6人で3クラスのすべてを受け持つのです。クラスの子供たちのことから親とのやり取りなどすべてに責任を持ちます。
つまり対応可能な規模で心理的オーナーシップを持てるのです。最初の大きな移行として機能横断型のチームが生まれます。そのチームが文字通りすべてを担当することもあります。

業種によっては顧客対応なども担当することが可能です。たとえば自主経営に移行したタイヤメーカーのミシュランは、作業現場のチームは自主経営となります。
“この工場ではこのタイヤを特化してつくるのだ”
ただし1つのタイヤに特化した営業担当は置きません。営業担当は複数の種類を売るものだからです。その意味では機能しませんが、それでもチームにできることははるかに増えます。修理部門に任せず自分たちで修理に取り組めたり、機械の設置や環境管理を自分たちで行えます。自分たちで採用プランニングそして調達をしたり無数のサポート機能をチームに統合できるのです。全部はカバーしていませんが、以前より大きな心理的オーナーシップを持てます。

多くの大企業で起きる根本的な変化の2つ目はミドル・マネジメントの消滅です。
“スパン・オブ・コントロール”という考えがなくなります。

パラレル構造のチーム編成になった大組織の多くでは上下の階層関係がなくなります。それはなぜかと言えばパラレル構造の7人や15人の部下を1人の上司では管理できず、“スパン・オブ・コントロール”、つまり管理の範囲を超えるのです。

分かりやすい例は小売業です。大きな小売業者である国に支店が500あるとします。するとある地域の10店舗を管理するために地域マネジャーが指名され、それを広域マネジャーが管理しその上に統括マネジャーがいて…そんな風に階層ができます。

しかし考えてみると、こうしたミドル・マネジメントにはあまり価値がありません。店舗が順調なら彼らの出る幕はありませんし、自己修正する自主経営では店舗も順調に進みます。ミドル・マネジメントは不要ですし、その仕事は意味のない“ブルシット・ジョブ”です。店舗マネジャーの採用も店舗でできます。店舗に業績改善を指摘するにしても、自己修正の方が効果的に改善できるので、多くの組織ではこうした管理業務が消え、元管理職の人間にも再び面白い仕事が回ってきます。新プロジェクトやイノベーション、新たな取り組みやサービスに参加できます。

つまりその組織構造はビュートゾルフのようなものです。彼らには1,000以上のチームがありますが管理職は存在しません。本部でヨス・デ・ブロックらがサポートはしていますが階層は存在しません。
ビュートゾルフの場合約20名のコーチを雇っています。1人のコーチが50チームほどを担当しますがチームの成績には関与しません。成績不振はチームが対処すべきでコーチに解決は求めません。コーチの役割は声かけです。
“成績が悪いようだけど手を貸そうか? 解決できる?”
コーチの役割はサポートをすることです。

しかしそれ以外の元管理職の業務はチームで分担できます。たとえば地域レベルで調整が必要な時もあります。
“この地域の10店舗でちょっと話し合おう”
“うちの店舗は休暇シーズンに人が足りなくなるから他の店舗と調整させてほしい”
昔は管理職の仕事でしたが、自主経営なら簡単に調整できる業務です。各店舗1名がその役割を引き継いで他店舗との調整役となるのです。

3つ目の大きな変化はサポート機能です。
ミシュランの例でも触れましたが、これまで組織を支えていたサポート機能たとえば人事、マーケティング、財務、調達やメンテナンスなどは各チームに統合され、チームが自ら採用や実績管理を行うようになるのです。
こうしたサポート機能が運営される方法はボランティアによるタスクフォースです。たとえば人事のタスクフォースが生まれます。熱意ある人が考えるのです。
“新しい社員に最適なのはどんなオンボーディングだろう?”

小売業を例に考えてみましょう。さまざまな店舗で人事に関心を持つ人が手を挙げ、ボランティアでオンボーディング案を練るのです。あるいは同じ小売組織内でマーケティングに関心を持っている人もいるでしょう。ポスターのデザインなどに関心がある人は?製品の材質を考えたい人は?タスクフォースに参加しましょう。

そこでよく起こるのがそのタスクフォースが誰かを雇うことです。中心となる代表者を雇うのです。理由はこうです。
“この取り組みには専任を置く価値があるし、店舗の人間には専念する余裕がない”
そして言うのです。
“賃金管理の専任が必要だ。全店舗の賃金管理者がいると助かる。でも雇うのを決めるのは人事部ではなく、専任が必要だと決めるのは私たちです”
たとえばマーケティングチームなら、“グラフィックデザイナーが必要だ”と言うかもしれませんし、SNS担当の可能性もあります。この専任者はタスクフォースから派生している点が重要です。

タスクフォースは専任者にとって心強い存在です。私が専任として雇われたとします。ブランディングやグラフィックデザインの担当者です。店舗は50あるとします。従来の形なら私は誰とも話さず決めた案を店舗に送ります。店舗の反応を聞いても手遅れです。タスクフォースに雇われた場合は話せる相手がいます。
“これはどう? 店舗に合う?”
そしてフィードバックがあり、新しい案にもさらにフィードバックが来ます。自発的なタスクフォースの存在は、残された少数の中央集権的役割にも役に立つのです。

3つの大きな変化を紹介しました。
分断された大きな部門から小さな機能横断チームへ変わり、管理の範囲を大きく超えるので従来の階層がなくなり、さまざまな役割がチームに再統合されます。
同じように組織のサポート機能もチームに組み込まれます。
そして有志によるタスクフォースが中心となって課題に取り組み、全員の代理として担当者を雇い専念してもらうこともあります。

疑問は解決したでしょうか。あなたの組織にもこうした例が当てはまるでしょうか。
あなたの組織はどのように変わっていくでしょう。

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