ビデオシリーズ

Video Series

ホーム > ビデオシリーズ > 4-3-6 説明責任とピア・プレッシャー(Accountability and peer pressure)

Top page

4-3.Self-management: teams, colleagues and former managers

4-3-6 説明責任とピア・プレッシャー(Accountability and peer pressure)

ピア・プレッシャー(仲間同士のプレッシャー)について話しましょう。
従来の組織では上からの指揮系統で制御され、決定が上から押し付けられます。自主経営はピア・ベース(仲間中心)で自分たちを律します。仲間同士で会話するのです。

そして、そうした自己修正の多くが会話を交わさずとも起きています。仲間同士のポジティブなプレッシャーがわずかにあるだけです。
そこでは互いの貢献を認め合い、また時には互いに批判し合ったりします。相手や相手の価値観を尊重していない時や、組織に起きてほしくないことをした時は批判されます。多くはピア・プレッシャーで自分たちを律するのです。

フランスで、たしか2年ほど前に2~3つの記事が現れてきました。それは思想家や学者が書いたもので、自主経営に対するかなり暗い見方の記事でした。
マネジメントでコントロールせず、ピア・プレッシャーに任せるのは恐ろしいと言うのです。まるで『蠅の王』のように皆が殺し合う世界になるため、従来のマネジメントがいいという内容でした。

それらの記事を書いた人たちは、頭の中で勝手にシナリオを想像したのだと思います。自主経営組織を訪ねたことも、メンバーと話したこともなかったのです。
そうした記事は間違いだと切り捨てるのは簡単です。でも興味深い上に重要なのは、ピア・プレッシャーがどう機能するか検証することでしょう。

私の考えを紹介します。1つ目は記事の執筆者に伝えたかったことですが、ピア・プレッシャーの活用時に唯一のデメリットはピア・プレッシャーがないことです。

人間は他人が発するシグナルを感じ取るものです。ポジティブな促しを感じ取ったり、耳に痛くても批判を成長の糧にします。
最も恐ろしいのは、フィードバックがないことです。自分の行動が周りにどう思われているか分かりません。誰もが経験があるでしょうが、反応が読めない相手には自分がどう映っているか分からず、困惑するはずです。

ある組織と自主経営への移行に取り組んだ時、メンバーたちは文字通りやる気を失っていました。コミュニケーションがなく恐れが広がっていたからです。フィードバックもなく、自分がどう見えているか分かりませんでした。

認識すべき重要なことは、人は社会的な土壌で活動するようにできており、自分への評価を感じ取っている点です。

仲間同士でポジティブなプレッシャーがある文化においては、評価のシグナルが健全な方法で交換されます。そういう場所には誰もが参加したくなります。
そしてまた一方で、裁かれたと感じ、恐れを抱く評価の方法もあります。そのため、とても重要なのはどうやって正しい方法に寄せるかです。

多くの自主経営組織はそれに時間をかけていました。初めはうまくいかない場合もあると耳にします。新しい社会的な土壌に慣れる前にマネジャーがいなくなって、ピア・プレッシャーがよくない形で出ることがあります。

その対処法を紹介しましょう。1つはハッキリ言葉にすることです。
事実を伝えていきましょう。自主経営はより社会的な土壌で活動するのだと伝えるのです。その方が人間本来の姿に近いうえ、健全です。
ピア・プレッシャーに関してもポジティブな形で活用されるように、チームが認識してコミットしていくことが大切です。

また、多くの組織が採用している他のステップはNVC(非暴力コミュニケーション)などの手法のトレーニングを行うというものです。
私には納得できるアイデアです。ただ、長いプロセスが必要です。皆がNVCを実践するには、じっくり時間をかけて学ぶ必要があります。

もっとシンプルで早い方法としては、互いについてもっと知ることです。
多くの従来型の組織ではあまり自分を見せず、自分のストーリーを周りの人は ほとんど知りません。どんな人間でどう育ち、何を大切にしていて、何が今の自分を作ったか周りは知りません。

当然ながら互いについて知り、その人のストーリーを知るほど、より自然に相手へ共感するようになります。より自然にフィードバックをし、賛辞や批判を聞き入れてもらいやすい形で伝えられます。
絆や好意が生まれているからです。個人的なストーリーを知る相手は、嫌ったり切り捨てたりしにくいのです。だからこそ自主経営では全体性という要素が重要になります。

最後の提案です。苦戦するならコーチを入れましょう。
ビュートゾルフではチームにコーチがいて、問題が起きているのに会話がうまく生じない時や、皆の士気が落ちている時はコーチが介入します。

加えていま浮かんだことですが、多くのチームが簡単で定期的なフィードバック制度を取り入れています。シンプルに、チームの雰囲気を聞くのです。
Eメールやアプリによるアンケート調査を毎週、金曜日に行います。絵文字の選択や 2〜3の質問で、チームの雰囲気を尋ねます。良い雰囲気なら何も介入せず、落ち込んでいたり悲しい顔の絵文字だった場合は話し合いをしたり、コーチを呼ぶ時です。

“ピア・プレッシャー”はいい表現ではないかもしれません。でも私たちは社会的な土壌で生き、常に他者のシグナルを感じ取りながら適応しているのが健全な姿です。できるだけ、その姿に近づきましょう。

RELATED TAGタグで調べる

RELATED KEYWORDキーワードを詳しくみる

Others

その他お知らせ