ティール組織とは

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更新日: 2023年12月2日


     

「ティール組織」は、元マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントでもあったフレデリック・ラルーが2014年に発表した原題:「Reinventing organizations」(邦題「ティール組織(英治出版)」以下ティール組織)で紹介された新しいパラダイムの組織論の考え方です。日本語版は2018年1月に発売され、組織論としては異例の発行部数である10万部を超えるベストセラーとなりました。また、この本は、「HRアワード 2018」優秀賞、「読者が選ぶビジネス書グランプリ 2019」マネジメント部門、「ITエンジニアに読んでほしい! 技術書・ビジネス書 大賞 2019」ベスト10、「ビジネス書大賞2019」経営者賞など、様々な賞を受賞しています。なぜティール組織は今、多くの人に注目されているのでしょうか?

What Do You Get ?

       

『ティール組織』を学ぶと何を得られるのか?

       

『ティール組織』は経営者やビジネス組織で働く人だけでなく、NPO/NGOなどの社会貢献活動に従事している人、そしてこの混迷の時代を生きるあらゆる人たちに対して、有益な新しい視点や具体的な方法論を与えてくれるものです。以下に、それぞれにとっての学ぶ意味をまとめてみました。

経営者にとっては、一人ひとりが多様な個性を発揮して、安心して幸せに働くことと、組織として社会に大きなインパクトを与える(時に高度な収益性を持つ)ことが両立する組織体を作っていくことが可能になります。現代という時代の分岐点は、機械論的な組織論のパラダイムから生命論的な組織のパラダイムの移行期として眺めることもできます。分散型で自己組織化する組織を構築することで、変化の激しい時代においても、経営者が孤軍奮闘で対応するのではなく、全員の力を合わせて柔軟に組織はその変化に適応できるようになります。

       

働く個々人にとっての視点から見ると、現代社会は、働くという行為の意味に変化が起きている時代と言えるでしょう。稼ぎとしての働き方から、自分の人生にとっての意味を求める働き方にシフトしてきているのではないでしょうか?多くの人にとって人生で大半の時間を使う「働く」という時間が意義深いものになるためには何が必要でしょうか?『ティール組織』を学ぶことを通じて、仕事を通じて自分の人生を再発見していくプロセスを歩むことが可能になります。また働く仲間がお互いを牽制したり、利害調整していく関係から豊かな人生を応援し合うような関係に変容していきます。

       

その他あらゆる人にとっても『ティール組織』の学びは有効です。組織論だけに留まらず、教育、政治、医療などの社会システム、また一人の人生の生きる旅路に関してまでも多くの示唆が得られる知恵に溢れています。一人ひとりが多様で輝いた人生を歩み、それらが共鳴・協調し合いながら動く組織やコミュニティが発展し、さらには社会システムの変化・変容も創造することが可能になっていきます。是非『ティール組織』の学びを通じて、新しい時代の息吹を感じ、美しい世界作りのムーブメントを共に築いていきましょう。

  • 経営者にとって

    • 一人ひとりの幸せと組織インパクトの両立

    • 変化の激しい時代に適応できる組織に

    • 機械的組織から生命的組織への変容

  • 働く人にとって

    • 稼ぎとしての働き方から人生の意義を求める働き方へ

    • 仕事を通じた、自分自身の新たな側面の発見

    • 働く仲間達との関係性の変容

  • あらゆる人にとって

                       
    • 組織論に留まらない、未来社会の探求

    • 共鳴・強調しあう組織・コミュニティの探求

    • 美しい世界に向けてのムーブメントづくり

DIGEST OF TEAL
ORGANIZATIONS

まずはここから!ティール組織ダイジェスト

       

それでは『ティール組織』とは何かを見ていきましょう。ここではその全体像を俯瞰的に眺めていきます。全体像を確認したり、初めて触れる人に共有する入口情報の決定版として活用してください。注意点としてここでお伝えしたいのは、あくまでこのページの内容が全体概要であるという事実です。『ティール組織』は学べば学ぶほどその多岐に渡る叡智や考え方の細やかさに驚きと感動を覚えるでしょう。実際に世界中に起こっている事例の数々はとても多様で、同じ概念で説明することに躊躇するぐらい日常の風景が異なります。あくまでこの記事は入口として、フレデリック・ラルーの著書やこのメディアの各ページを楽しんでいただくことをお勧めします。

フレデリック・ラルーの
問題意識の根源と事例との出会い

           

15年の人材育成コンサルタントやコーチの活動を通してフレデリック・ラルーは「働く方の多くが仕事に喜びを感じられてない状況」に気づいていきました。働く個人は「仕事は情熱を求めるものではない」と話しており、組織のトップにいる人々は、外見上自信に満ちているように見えていても、日常の競争や内部闘争に疲れ、情熱を失いつつあったのです。
そんな状況から、フレデリック・ラルーは「未来の子孫が、私たちの今の組織のあり方をみた時、どう思うだろうか?」と問いを持ちました。私たちの組織や協働の方法は、現代の価値観や制約に縛られているかもしれません。それらを変えることで、より良い協働体制が築けるのではないか?と彼は考えたのです。
彼の主要な探求は、「進化した意識レベルを持つ組織が存在するのか?そしてそれはどのように機能しているのか?」であり、研究対象を「100人以上の従業員を持ち、新しい文化やプロセスを5年以上維持している組織」としました。最初はそのような組織は少ないのではと思っていましたが、実際には世界中で多くの事例に出会うことになります。この発見に触発され、考察を書籍にまとめることにしたのです。

         

組織における発達の視点
(組織形態の系譜)

組織の進化形態
             

フレデリック・ラルーは前述の問題意識をもち、世界中の組織の探索の旅に出ます。そこで既存の組織モデルとは全く異なる組織形態の事例と多数出会い、それらの共通項を考察・整理したのが『ティール組織』です。この最新の組織形態を表現する上で、彼は個人の発達段階をその深い叡智からまとめ上げたケン・ウィルバーの『インテグラル理論』から着想をえました。人類が誕生して以来の組織形態の進化の歴史が、そこで示される個人の発達段階とおおむね符号し、既存の組織形態の特徴を含みながら発達していっているのではないか?というのです。説明に入る前に、重要なことを1つお伝えさせてください。それは、「最新の組織形態が良い/既存の組織形態が悪い」という見方はしないということです。まして他者の優劣を判断するものではありません。各段階で人類にとっての価値、発明や特徴があります。こども・成人・高齢それぞれの時代に優劣をつけることがナンセンスなように、各段階に豊かさとつまづきやすい点があるのです。また当然ですが、集団が集い続ける意味・ありたい未来像・経営者の性質・業界の成熟度などによって、適切な組織形態が違ってきます。あなたは普段どんな協働や組織の中に生きていて、今後どうしていきたいのか?ティール組織や組織の発達段階の話から、ヒントや考え方の切り口がたくさん得られることでしょう。それではティール以前の4段階を見てきましょう。  (WIKI詳細はこちら

  • 衝動型 (レッド)

    人類が誕生してから最初の組織構造は「衝動型(レッド)」と言われる形態です。これは「力で人を支配する組織」を意味します。トップが強い力を見せつけ、他のメンバーを恐怖や力で従わせる、トップダウンの権力構造です。役割分担をして仕事を進めるという「分業」が生まれました。戦闘地域・破綻国家など敵対的や混沌とした環境には適していますが、安定した場での計画や戦略の立案には向いていません。また、多くの人がトップの位置を狙っているため、不安定さがあります。人数が増え、階層が増えると、統率が難しくなるという弱点も持っています。トップとしては、常に警戒を要する状態であり、心安らかに生活するのは難しいと言えます。

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  • 順応型 (アンバー)

                   

    次の組織構造は「順応型(アンバー)」と言われる組織形態です。軍隊や教会などに例えられる厳格な階層型の組織で、指示命令系統が明確です。階級や役職と業務プロセスという2つの発明により、大規模かつ長期のプロジェクトが可能になりました。上の人が計画し下の人が実行する、上位下達システムが安定性をもたらし、業務プロセスによって誰でも同じ業務が行える状況を生み出しました。トップですら人を交代できるようになり、組織は何世代にも渡って継続が可能になりました。アンバー組織は、過去の経験に基づいて計画を立てられる安定した環境に適しますが、変わらない世界を前提とするため、大きな状況の変化や競争に対応しにくいという特徴があります。

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  • 達成型 (オレンジ)

    次の組織構造は「達成型(オレンジ)」と言われ、組織を機械のように捉える、現在のビジネス界の主流な考え方です。アンバーの不変の前提から、変化を追求するイノベーションの時代になり、実力主義や報酬が発明されました。実力を示すと報酬を得られ、身分を問わず出世が可能です。中期経営計画やKPIなどマネジメントが誕生し、人の知性や創造性を引き出す仕組みが整備されました。アンバーは鞭による運営、オレンジは飴による運営と言えるでしょう。しかし、過度な競争や生産性追求は、エコシステムへの甚大な影響や、過剰な供給を引き起こします。成長や利益追求だけが重要指標となると、人生の空虚感や中年の危機を招くことがあります。

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  • 多元型 (グリーン)

    次の組織構造は「多元型(グリーン)」と言われ、家族やコミュニティなどと表現される、多様性を尊重する組織です。全ての人に平等な価値があると考えます。オレンジ型では成果を重視し、リーダーはビジョンや戦略を示す役割でしたが、グリーン型は組織の文化や価値観の共有を重視し、リーダーは価値観の体現とメンバーを支える役割になります。権限委譲がなされ、意思決定は合意に基づいて行われるボトムアップ型です。また、株主の利益優先ではなく、社員・顧客・社会・環境など、ステークホルダーを考慮します。しかし、コンセンサス重視のあまり遅くなる、ヒエラルキー構造を残したままによる矛盾など、理想と現実のズレに対して解決策が見えづらくなります。 WIKI詳細はこちら

事例に共通してみられる
3つの突破口 (特徴)

生命体のような組織
           

『ティール組織』の観点から見た場合、前の段階が未熟で悪いものであるという見方はしません、それぞれの段階で人類にとっての進化があり、それらを含んで超えていくプロセスの中で、ティール組織においても新たな特徴を見出していっているのです。それではここではそのティール組織の事例群に共通する3つの突破口を見ていきましょう。  (WIKI詳細はこちら)

  • 自主経営

                   

    自主経営の訳の元である英語表現はself-managemanetということもあり、ティール組織の3つの特徴の一つは「個人で自己マネジメントができること」、つまり優秀な個人の集まりと理解されている場面も多いが、実はそうした意味はここにはありません。ティール組織における自主経営は今までの組織とは異なるパラダイムの組織構造で運営されていると言うことを指しています。


    ではその組織構造はどういうものかと一言で言うと「組織の目的に向かって自己組織化、自己修正し続ける構造」ということができます。今までの組織論(特にオレンジ)は機械のメタファで例えられるように、ある特定の個人からの司令で始まる、制御・統制モデルが主流でした。上下関係にもとづくマネジメントと言っても良いかもしれません。それに対し、ティール組織における組織構造は生命体や生態系のメタファで捉えることができる、より有機的な組織構造になっていくのです。その構造の理解には「自己組織化」と「自己修正」の概念理解が重要になっていきます。


                   

    「自己組織化」とは、上意下達や指示命令はないが組織化されていくメカニズムであり、人体の構造や街(都市)の誕生発展プロセスに例えられます。組織の大小にかかわらず、階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間や関連する人たちと関わり合い、その関係性の中で各自が動くシステムです。物事の起点はトップではなく、組織内の1人ひとりになります。そのため、上司からの指示命令や承認プロセスがなくなり、代わりに助言プロセスなどを活用しながら、現場の個人(役割)やチームが自己決定して活動を進めていきます。


    「自己修正」とは、特定の人の指示なくピンチやチャンスを感じ対応する機能のことです。人が体温を36度台に保ったり、傷口が脳の命令ではなく勝手に再生を始めたりするような機能に例えられます。たとえば、組織内の「ものさし(評価基準)」は、オレンジ組織までは、上司やリーダーがつくり、モニタリングし、フィードバックするものでした。ティール組織では、それを、メンバー自らがつくり、モニタリングし、フィードバックすることで、自分たちで自然と自己修正できる環境をつくります。


    このような生命体的な組織構造は権力による階層構造は手放しますが、自然な階層構造は見られることがあります。なのでティール組織=フラット組織ではないことが理解できると思います。同じ高さの木が並ぶ森林ではなく、多様性のある木々が調和をとりながら成長していく豊かな森林生態系を作っていくイメージです。


    同様にティール組織=ノールールも誤解であり、性悪説的な無数のルールやプロセスがある組織構造を手放し、性善説にもとづく最低限のルールやプロセスは必要になっていきます。そのルールやプロセスをどう作っていくのか、どう進化させていくのかもトップダウンではなくより分散的で変化し続けるのもティール組織のユニークなところと言えるかもしれません。


                   

    自主経営を実際に機能させていく際には、5つのキープロセス(①意思決定、②きめ細かく流動性のある役割、③情報の透明性、④パフォーマンスマネジメント、⑤紛争解決)をきっかけに考えていきます。フレデリック・ラルーは5つのキープロセスを更新すれば90%は自主経営への移行が完了する、と述べています。


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  • 全体性

    全体性とは、役職における専門性や職場において暗黙に求められる振る舞いという仮面をはずし、ありのままの個人として存在としてその場に居ることができる状態のことです。


    オレンジ組織までは、男性的な強い意志、決意と力を示し、疑念と弱さを隠すよう求められることが多くありました。合理性がすべてであり、情緒的、直感的、精神的な部分はまず歓迎されず、場違いだと見なされてしまっていました。その結果、役職における専門性や職場において暗黙に求められる振る舞いという仮面をつけて、誰しもが働くことになりました。「これは本当に自分がやりたいことなのか?」「一体、これのなんの意味があるのか?」「犠牲にしている他のすべてのことに見合う価値はあるのだろうか?」そんな問いを持ちながら働いている人も少なくはないでしょう。組織において1人ひとりは自分の役職や役割に割り当てられた内容を達成することのみが求められます。自分の一部を置き去りにするたびに、私たちは自分の可能性の一部、創造性やエネルギーから自分自身を切り離すことになります。多くの職場が、どこか生気を感じないのも無理はありません。


    私たちが自分自身の本来持っているものをすべてを職場に持ち込むことができた時、並外れたことが起こり始めます。同僚との関係において、職場を不快で非効率なものにしていたものの多くは消え去り、職場は、私たち一人ひとりが内なる偉大さを明らかにし、天職を顕現させるために互いに助け合う場となっていきます。


    それではどのようにしてティール組織では全体性を育んでいくことができるのでしょうか?まず大前提として先述した自主経営の組織構造そのものが一人ひとりの全体性を発揮することに繋がっていきます。働く一人ひとりが自らの意志を持って、自己決定で日々の仕事を行っていきます。今までのように昇進のために争う必要もなく、上司を喜ばせる必要もなく、敵に肩入れする必要もない。上司に肩入れされることもなく、従業員を束縛することもなく、競争相手となりうる同僚もいない今、私たちはようやく警戒心を解き、ただ自分のやりたい仕事に集中することができるようになります。また、従来型の組織では人事部や経営層の采配のもと一つの部署に所属する形がよく見られますが、ティール組織では複数役割歓迎で、現場で働く人同士で相談しながら、配属、新しい役割の創出などを柔軟に行っている特徴があります。


    その他、ティール組織の世界中の事例は様々な全体性を育む仕組みやプロセスが発明されています。

    一人ひとりが自分の内なる魂の声に耳をすませ、その人の本来持っているすべてを発揮させるためには職場に安全で思いやりのあるスペースをつくる必要があると彼らは信じています。私たちは、自分の言動が同僚のコミュニティにおける安全と信頼を損なう微妙な方法を見極め、注意深くなることを学んでいく必要があるのです。私たちの恐れが引き金となるときはいつでも、私たちが軽視したり影に追いやったりしてきた自分自身の側面を取り戻し、より全体性を高めるために学び成長する機会となります。ここでは世界中の先進的組織がどのような方法で全体性を発揮できる組織を実現しているか、その主たるものをご紹介します。


    ・健全で生産的なコラボレーションを促進するための基本ルールの明確化と文章化

    ・定期的な沈黙や内省の時間・スペースの構築、瞑想・マインドフルネス、コーチングの実施

    ・ストーリーテリングの作法の習得や文化構築

    ・個人のエゴを抑制し、全体性を育む新しいミーティング習慣

    ・対立や葛藤を歓迎し、価値に変えるためのコンフリクトマネジメントのスキルやプロセス構築

    ・安心して自己を発見、表現できる物理的な空間作り


    これらの実践に加え、ティール組織では採用、入社、研修、評価、報酬、解雇といった主要な人事プロセスすべてを、恐怖や分離感を取り除き、全体性を取り戻す方法で再構築しています。以上のような実践やプロセスを通じて働く個々人にとっての安心・安全な空間が作られるが、同時に重要なことは働く一人ひとりが自己認識と自己開発のプロセスに責任があるということです。上記のような仕組みを活用し、自ら自分の人生の目的に耳をすまし、自己発見と自己表現の旅路が歩めるようになっていくのです。


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  • 存在目的

                   

    組織の「目的」とは何か?現代の組織の多くは「ミッション・ステートメント」を掲げていますが、こうしたステートメントはしばしば空虚に響き、実際の意思決定の指針にはならず、実際、従業員にはまったく知られていないことが多くあります。ほとんどの組織では、組織が本来持つ集団的な意義としての目的というよりもむしろ、自己保存(生存)や最大化の欲求によって行動が動かされています。生存を確保する効果的な方法は、より多くの利益を上げ、競合他社を犠牲にしても市場シェアを獲得するあらゆる機会をつかむことと考えている組織もあります。そういった、戦いのさなかにあって、本来の目的について考える暇をもてる人はどれぐらいいるでしょうか?


                   

    ティール組織では、組織それ自身が生命と方向感を持っていると見ています。組織のメンバーは、将来を予言し、統制しようとするのではなく、組織を生き物として捉えたうえで「組織が将来どうなりたがっているのか?」「どのような目的を達成したいと願っているのか?」という声(Call)に耳を傾け続けます。多くの場合、「存在目的」は明文化されず、対話の中で常に語られ、共有され、進化し続けていきます。このように、組織の一人ひとりが組織の声に耳を傾けている状態と変わり続け続けつつも、確実に一人ひとりの働く行動指針や判断基準に繋がっている文脈のようなものを存在目的(Evolutionary Purpose)と言います。

                   

    多くのティール組織への変容を進めている組織では人々はエゴの恐れを手なずけることを学んでいきます。このプロセスによって、個人としても集団としても、意味や目的についてより深い問いを探求する余地が生まれてきます。「 自分の天職は何か?」「自分の使命とは何か?」といった問題に、個々人が目的に耳をすましていきます。そして、個人の集まりである組織体においても、その有機的な生命体としての目的の探求を始めていきます。もはや生き残ることに固執することはありません。アイデンティティを分離し、「この組織の使命は何か 」を見極めはじめる。また「財産として、この組織を使って何をしたいのか?」ではなく、「この生命、この生命システムの創造的可能性(The Deepest Potential)は何なのか?」を問い長期的な計画を立てるのではなく、意味のある一歩を踏み出していく。行動する前に考え抜くのではなく、失敗を含めて、行動しながら学び、進化していくのです。


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misunderstanding
and its real

よくある誤解と実際

ティール組織はまだまだ新しい故に、組織論の専門家の中でも理解がわかれている傾向にありますが、その代表的なものについて簡単に解説してみましょう。今後、記事などを通じて詳しく解説予定です。

よくある誤解

  • ・ティール組織は組織構造がない (階層がなくてNOルールな組織)
  • ・ティール組織は意思決定に時間がかかる
  • ・ティール組織は大組織では展開できない
  • ・ティール組織はトップが不要
  • ・ティール組織は収益よりも人々を優先する (ティール組織では稼げない)
  • ・ティール組織は混沌と無秩序である
  • ・ティール組織にはすぐに変革できる
  • ・ティール組織は自立した優秀な人の集まりでしかできない

その実際

  • ・性悪説ベースの無数にあるルール・プロセスの組織ではなくなるが、その代わり、性善説ベースの少数のルールやプロセスは明確に存在する。権威的階層はないが自然な階層がある。
  • ・時間がかかるのは不健全なグリーン組織の特徴。助言プロセス等により、迅速に現場の1人1人が意思決定できる場面が多い。
  • ・ティール組織を書籍化する元となった調査の対象は「100名以上、5年以上その新しい組織形態や文化が続いた組織」であった。最大規模は4万人の電力会社事例が存在する。
  • ・ティール組織は完全な分散組織ではありません。トップの役割は既存の組織とは大きく異なりますが、とても重要な役割を果たします。(ソース原理を参照のこと)
  • ・ティール組織では人々を大事にすることは大前提ですが、目的の実現へのエネルギーも高まります。結果として、高い収益性を実現する組織は存在します。
  • ・ティール組織は自己組織化と自己修正により、新しい形の秩序を生み出します。伝統的な組織の厳格な構造と比較すると混沌に見えるかもしれませんが、新しい種類の秩序を形成しています。
  • ・ティール組織への移行は時間とコミットメントを必要とします。それは一夜にして行われるものではなく、数年がかりの長期間の旅路となります。
  • ・ティール組織の事例ではハンディキャップを抱えている従業員の人も含め、多様な人たちが活躍している姿があります。優秀さを基準にすることで、むしろ組織に外的恐れが蔓延し、全体性を育みにくくなる可能性があります。

transformational
journey

具体的な変容の旅路

ティール組織的な変容に向けた道のりは、従来の機械論的な計画的アプローチとは様相が違います。10社あれば10通り、プロセスも最終的な姿も違ったものになります。ティール組織をゴールとして計画を立てるプロセスの場合、働く人たちにとっては与えられたものとなってしまい、うまく機能しません。変容の後の姿をティール組織と決めず、「私たちの組織は今、健全(ヘルシー)か?」「1人ひとりの行動は、他社や他人への恐れや焦りなど、外側に影響を受けているのか?愛や情熱、思いやりのような内側のエネルギーからきているのか?」といった問いからはじめ、働く仲間と共に探求しながら、小さな実験を繰り返していきます。結果として、それがティール組織のようになっているかもしれませんし、健全なグリーンや健全なオレンジになっているかもしれません。また、ティール組織的な組織変革は、パソコンのOSが変わるような根本的な変容の道のりです。トップが自ら内省し変容していく覚悟、働く1人ひとりが学びながら探求しつづけることによって、新しいパラダイムの組織へ歩むことができます。


今後、以下のようなテーマで具体的な旅の仕方についてまとめていく予定です。

・機械論的チェンジマネジメントではなく生命的な変化のプロセスとは?

・ホラクラシーやソシオクラシーといったパッケージは使うべきかどうか?

・外部のコンサルタントやコーチは使うべき?もし活用するなら注意すべきことは?

・大企業による変革プロセスの四パターン

faq

よくある質問

ここでは、ティール組織を学ぶ中でよく出てくる質問を取り上げていきます。どれも深く探求できる問いですが、ここでは簡潔な回答を心がけてみます。

アンバー組織やオレンジ組織から、いきなりティール組織になれますか ??

ティール組織は「何かこの段階を踏まないとなれない」というものではありません。注意が必要なのは、ティール組織をゴールと認識することです。ゴール設定して変化を強いると、旅路のプロセスが難航することが多いと言われています。例えば、現場の立場からすると「経営者が見つけてきた流行り物をトップダウンでやらされる」という気持ちになり、興味を持っていたとしても「ティール組織っぽくないやり方だ」と感じます。 そもそも、人は他者によって変えられることを不快に思う傾向にあるため、与えられたゴール設定では、能動的な探求プロセスとなりにくく、変化を急ぐと反発を招きます。あなたがなぜ組織に変化を起こしたいのか?どう変化を起こしたいのか?仲間と共に探求するプロセスから始めましょう。

グリーン組織とティール組織の違いがイマイチわからないのですが、何が違うのですか??

日本でも海外でも、グリーン組織とティール組織の概念の混同が起きがちですが、実際はかなり異なります。レッド・アンバー・オレンジ組織が培ってきたトップダウンのヒエラエルキー構造に対して、グリーン組織は分散型やボトムアップ型と言われます。しかし、ティール組織はトップダウンのヒエラルキー構造と分散型のどちらでもなく、統合型の組織という理解が正しいです。それが生命体や生態系のメタファーとして理解される所以です。 また、グリーン組織は合意形成・共通の価値観・一体感のあるカルチャーなどが重要視されますが、ティール組織は助言プロセス等、より多様性のある個人やチームがそれぞれに意思決定することができる自主経営の仕組みがあるため、存在目的と全体性と合わせて機能できていると異端児も活躍しやすい環境と言えるかもしれません。

ティール組織は優秀な人じゃないと成り立たない組織ですか??

よく聴かれる質問ですが、答えはNOです。ティール組織の世界中の事例ではハンディキャップを持った人も含めて、多様な人が活躍している組織があります。ネットフリックスのような優秀な人を集めることで自由な風土を実現しているような企業も存在していますが、優秀さを指標としすぎると「優秀でないと見なされたらどうしよう」とか「本当は違う役割をになってみたいけど、それに関しては自信がないし、この組織から必要とされなくなりそう」など、優秀な人を集めただけでは機能するとは限らず、恐れが蔓延する場合もあります。 安心・安全な文化こそ、一人ひとりが全体性を発揮し、その結果卓越した結果を生み出す基盤となります。そういった意味で優秀さは基準とはなりませんが、組織の持っている存在目的との共鳴、組織が大事にしている価値観との共鳴は非常に重要になってくると考えられます。 

存在目的を言語化しないと従業員に共有できません。どうすればいいでしょうか??

ティール組織の話を聞いてよく驚かれることの1つに、存在目的を明文化しないケースが多いという事実です。その時に今回の質問をいただきますが、ここで大事なことは「共有」とは何を指しているのか?ということです。それは覚えているということでしょうか?おそらく、意図されているのは行動指針や判断基準になるということだと思います。しかし、世の中のミッション・ビジョン・バリューのマネジメントにおいて、言語化されているものが本当に働く1人ひとりにとっての行動指針や判断基準になっているケースはどれぐらいあるでしょうか? ティール組織では、その組織の意義に関して1人ひとりが探求し続け、組織として対話し続けることが重要だと語られています。明文化することには、共有しやすさと立ち戻りやすさというメリットもありますが、同時に、作った瞬間から古くなり形骸化する、掲げることによってその焦点以外の探索が産まれにくくなるというデメリットもあります。 そこに注意しながら、時々定点観測のように言語化して、探求を繰り返す、そんな存在目的とのダンスしてみてください。おすすめは「私たちは何者なのか?」「本当に提供したい価値はなんなのか?」という探求をし続ける機会をつくることでしょうか。

ティール組織では、“計画"や"目標設定"は無くてもいいのでしょうか??

ティール組織を初めて理解する時に、目標設定や計画は不要という風に極端に表現されることがありますが、真実とは少し異なります。フレデリックは「iphoneを作ったり、飛行機を飛ばそうとしたりする場合は、計画なしにはできません。」とよく言います。私たち人類はオレンジの段階で計画的なアプローチを確立してきました。しかし、ゴール設定をして計画を作り、実行するアプローチにはメリットもデメリットもあります。 個性を兼ね備えた人の集まりを変革するプロジェクト、新規事業、社内で前例のない取り組みなど、計画的なアプローチがうまく機能しにくいものにまで当てはめてしまっているケースも多い訳です。ティール組織では、計画的アプローチの良さも認めつつも、計画しないことの価値も再評価し、過度に計画主義に陥っていないか?無計画になりすぎていないか?状況に合わせて選択していくあり方が求められます。

ティール組織に共感するのですが、経営者が目指していない場合は従業員の私たちにできることは何でしょうか??

ティール組織の原著に少しインパクトのある記述があります。「CEOが乗り気でない場合、あなたの時間と精力を組織変革プロジェクトに注ぐことはそれほど意味がない」という記述です。フレデリックの経験上、現場がティール組織に影響を受けて活動を進めても、トップの理解がない場合、結果として悲しい結果に終わってしまった組織が多かったようです。しかし、それは真の意味でのティール組織が難しいという意味であって、ティール組織の学びを元に健全なオレンジ組織や健全なグリーン組織を作っていくことは可能です。 同時に、世界におけるティール組織をはじめとする進化型組織の知見はより深く広がりを見せており、著名な組織論の研究者であるゲイリー・ハメルはこの世界におけるNGOやハッカー(この場合は良い行いをするホワイトハッカーを指す)のようにトップに立たなくてもこの世界を良い方向に導く方法は無限にあり、それは組織においても可能だという思いを持っています。彼は『Humanocrasy(ヒューマノクラシー)』という書籍に考えをまとめています。 是非、現場でも諦めずに取り組んでいただければと思います。

社長がティール組織化をはじめたのですが、現場は大混乱です。どのように対処していけばいいでしょうか??

非常に注意が必要な状況です。社長が思っているティール組織とはどのようなものか?の理解と、なぜティール組織のような変化を起こしたいのか?の源泉の2つをたどる必要があります。そこを飛ばして、部下にティール化推進プロジェクトといったものを走らせた場合、ほとんどの場合、カオス状態に陥ってさらに状態が悪くなるか、元に戻ってしまうケースがほとんどです。フレデリックは、DXと同様にそれなりの勉強と変化を全うする覚悟が必要だと語ります。安全に短期間にティール化するというのは不可能ですので、その旨の理解をしてもらいましょう。

日本でのティール組織の事例はありますか ??

この問いに答えるのは非常に難しいのが事実です。 ティール組織というのをどれぐらい広義で捉えるのかによります。そもそも、ティール組織はフレデリックが世界中で探訪したユニークな先進組織の共通項をまとめたという意味においては、当然日本にも同じような方向性のティール組織の事例に取り上げられてもおかしくない事例は散見されます。同時にティール組織の発売後、それらの学びを元にティール組織になった組織が日本にあるかどうか問われるとそれは少ないと言わざるをえません。 それは、日本に合わない・難しいという理由ではなく、しっかりと学び変化していくには最低でも3年から5年のプロセスが必要だからです。日本にも産まれてきている自称ティール組織もよくよく見てみるとグリーン組織であったり、実は階層がないだけで完全なトップダウンという組織も散見されますので、なかなか回答しにくいというのが正直なところです。しかし、日本の中でも驚くような素晴らしい取り組みもたくさんありますので、日本文化には合わないということはなさそうな気がします。

日本で『ティール組織』が売れた理由はなんですか ??

日本語版のティール組織は、英語版の発売から4年遅れの2018年1月に発売されました。にもかかわらず、売り上げたスピードは世界で群を抜いており、現在は10万部を超える発行部数になっています。2018年の日本では、残業問題や働き方改革など、現場の働き方に疑問を持つ人が増えてきていたタイミングにピッタリだったと言えるかもしれません。 また、組織に関するノウハウは西洋の考え方が中心となっているものが多かった中、フレデリックが着想を得た「インテグラル理論」が西洋の叡智と東洋の叡智を統合するような考え方であったため、比較的日本にも受け入れやすかったというのもあるかもしません。 「ティール組織」が示す、機械的で無機質な働き方から、より魂のこもった人間らしい働き方の提案が書かれた内容に対し、共鳴する人が多いことは日本にとって大きな希望ではないかと考えています。

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