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2.Perspectives on the journey

2-4 どこから始めるべきか(後編)(Where to start – 2)

“どこから始めるべきか”をテーマにした動画の後編です。文字通りどこから着手するかがテーマです。10人ほどの小組織なら、全体で変革を進められますが、たとえば会社の規模が数百〜数万人の組織になってくると始める場所は悩ましい。全部を一度には変えられません。もしそうするなら、昔ながらのトップダウンの命令という形になります。“これに従え”という命令は次世代型組織では機能しません。

まずは組織の捉え方を改めましょう。組織を機械だと捉えるのではなく、組織を“生命体”だと捉えるのです。組織という機械に何かを“組み込む”のではない。組織に“組み込む”のでなく、組織への“受粉”を考えるのです。いいアイデアを思いつき、試しても安全だと感じたらいくつかの場所で試すことで周りにも広がっていく。そうやって全体が新しいやり方に移っていくのです。

では、どこから始めるか?組織を観察した結果、少なくとも4つの方法があると思います。

1つ目は組織の一部分で“試験”をする方法です。全体で実行する前に一部で試してみるのです。すると当然 疑問が生じます。“どこで試すのか?”答えはシンプル。どこよりエネルギーに満ちていて変化を待ちわびたチームからです。その理由は、強い“痛み”があり変化を必要としているかそのチームが積極的に求めているからです。リーダーやチームの誰かが試したいと声をあげている“試験”をする場合には注意事項があります。古い考えに流れないよう気をつけましょう。“結果が良ければ全体で実行”は昔の考えです。それに“試してみよう”と提案する場合は、基本的にリーダーは自分が進もうとしている方向に確信を抱けていません。だから試すくらいがいいのです。それで問題がなければ、自分も周りも自信が持てますが、できる限り守ってほしいのはリスクを避けることと見返りを考えないこと。“リスクだけどやろう”とか“金になるからやろう”ではなく、自分を突き動かすものに忠実であるべきです。1-2の動画で語った通りです。変革に成功したリーダーたちは自分の動機に基づいて行動しています。従来のやり方に限界を感じた際に、リスクを取ったり見返りを狙うのではなく、心に突き動かされて成功するのです。“試験”が最適な方法だと言っているのではありません。忘れないでください。“試したら全体に導入しよう”と考えるのは避けましょう。

2つ目のアプローチは、あるひとつの施策を決めてそのひとつの施策を全体で実践することです。たとえば予算編成。編成プロセスはどの部門も同じ場合が多いので、従来の方法に限界を感じたら組織全体で新しい施策を実践してみることもできます。たとえば評価でも同じことができるでしょう。“今後は助言システムを導入しよう”と提案するのです。このアプローチにおいてぜひお勧めするのは、新しい施策を考える有志を募ることです。組織に合った予算編成や助言システムを考えるのです。人数は多くなっても構いません。アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)などの集団での対話手法はたくさんあります。多くの人が関わるほど、多くの人が納得した状態で新しい方法の実践に移れます。ひとつ注意したいのは、一回で完璧な改善はできないとしっかり伝えることです。“手を加えたあとは結果を見ながらまた来年改善していきましょう” “常に修正は必要です” と伝えることが大切です。その時々で最善を尽くすのです。

3つ目は、素晴らしい手段だと思います。考案者はヨス・デ・ブロック氏です。デ・ブロック氏というのは、看護師による介護組織“ビュートゾルフ”のリーダーです。彼は競合2社から相談を受けたんです。ビュートゾルフのような変革を目指す2社でした。そして彼は今もそうだと思いますが、競合相手に無料でコンサルティングをしたのです。彼の策は妙案でした。既存の組織を変えるのではなく、まずは小さな部門を作ってみるのです。新しい方法を試す場所です。そしてメンバーにこう伝えるのです。“もし既存のシステムが嫌なら新しい部門に応募できる”うまくいけば古いシステムは縮小していきます。古い風船がしぼみ、新しい風船が膨らんでいくイメージです。メンバーのエネルギーと同じです。素晴らしいやり方だと思いました。この方法が可能な業界と可能でない業界があります。たとえば銀行だと、別の小さな銀行は作れない。現実的ではありません。製薬会社だって、急に小さな製薬会社は作れない。一方、看護師には効果的でした。しかし既存の企業でも一部でなら可能かもしれない。たとえば製薬会社の研究開発部門を考えてみましょう。メンバーたちには従来のやり方で進めるラボと、新しいラボがあると伝えます。そして研究の機会が生じるたびに、新しいラボを試す人が増えたとする。そうすると次第に昔のラボが縮小し、新しいラボが拡大していきます。

4つ目は組織全体を実験に招待する方法です。そうすると何が起こるかというと、あちこちで色々なことが起こります。大きな組織ではあまり選択肢がありません。全部を一度に変えることはできない。昔のような上からの押しつけに感じてしまうからです。もっと効果的な方法としては、方向性だけ示して全体に実験を呼びかけることです。自主経営を目指しているなら、その目指している方向を組織に伝えるのです。そして各部門に実験を促します。そうすると、たとえば突然リーダーが自主経営に向けた実験を始めれば、色々なチームが様々な方法に取り組みだします。しばらくはチームごとのペースの違いを認めるべきです。ペースはバラバラになる。それは大きな利点です。各自違うやり方で進めるので。そのうち自然といくつかが他より簡単で上手くいくと分かり、注目を集めます。他の部門の人たちが見学に来たりする。参考にするためです。そしてどこかの時点で、ある方法の正当性が組織内で認められてきたら、普遍化を提案してもいい。採用か不採用かです。実験と標準化をめぐる緊張関係は別の動画で紹介します。大組織に必要なのは呼びかけです。自主経営を目指す大がかりな取り組みでもいいし、ここで紹介したような小さな取り組みでもいい。評価のプロセスを変革するとしましょう。

たとえば2万人の組織なら、新しい方法を全員に押しつけるのはやり過ぎかもしれない。それよりは呼びかけるといいでしょう。“評価項目を細かく審査する官僚的なやり方を変えたいのでこんな案を考えてます。関係も深まるし正直になれる素晴らしい案なんです。見本もあります。今後この新しいシステムで自由に実験してみてください” そう言って様子を見ましょう。これはただの一例ですが、ある段階で学びをまとめるとまた何か案が出てくるかもしれませんし、そうやって組織に一番合う方法を模索していきましょう。

4つの方法を紹介しました。実際には4つが並行して実践されていきます。大きな組織なら実験を呼びかけつつ、ひとつの施策の改革に組織全体で取り組み、研究開発のような個別の部門では、新旧のやり方が選べるようになっていて一部では“試験”をしている。あるいは新しい案を聞きつけて志願してくるかもしれない。“我々に試させてくれませんか” “新しい案に挑戦する我々を周りから守ってくれますか” 実際は4つの組み合わせですが、分けて説明しました。改めて考えてみてください。あなたの組織はどこから始めますか?

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