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1.Thoughts for top leaders

1-2 何があなたを突き動かすのか(What truly drives you?)

組織変革に臨む経営者と話をすると、彼らは“How”を話したがりますが、私が話したいのは“Why”です。それには大事な理由があります。私の調査した組織には色んなタイプの経営者がいました。外交的な人、内向的な人、カリスマ的な人、そうでない人。でも1つ共通点がありました。組織のあり方を変えたいと心の奥底から強く願っていることです。従来の運営方法ではダメだと思わせる何かが、心の奥底で彼らを突き動かしていました。そして私が気づいたのは、このエネルギーを組織変革のために活用することが決定的に重要だということです。


私がこれを本当に理解したのはある大学病院のCEOと話をした日です。彼女は 現場のチームや看護師が自主経営できる組織に変えようとしていました。自分の信じる組織変革について関係者に話をはじめて“組織を自由にする”という言葉を使いましたが、ほとんどの人から理解を得られず、多くの抵抗を生みました。“とんでもない話だ” “人の生死を扱う病院でスタッフに好き勝手させるなんて”

私は 彼女に尋ねました。”何があなたを突き動かすのですか” ”他の大学病院のCEOは誰もそんなことを考えないでしょう”。最初は彼女も言語化するのが難しそうでした。それで何度も何度も質問を重ねました。そのうちにこんな話が出てきました。”1年前に病院の長い廊下を歩いていたときのことです。外の会議があったので急いでました午後4時45分でした。長い廊下でたくさんの看護師がタイムカードを押そうと定時を待っているのを見ました。その瞬間 深い悲しみと嫌悪感に襲われました。組織が看護師たちをそう変えてしまったのだと。彼らが病院で働くのは億万長者になりたいからでなく、強い使命感からです。なのに組織が彼らの意欲を奪い、定時を待つ人間にさせてしまっていたんです”それが彼女の心を動かしました。

私もその話を聞いて心を打たれ身体が震えました。心の奥底から出てきたこの話を彼女が組織で共有すると抵抗がなくなり協力者が増えました。“ティール組織”や“自由な組織”などの概念に抵抗する人はいますが、良心がある人ならこんな話には反対しません。看護師が意欲を失うのがいいことだとは誰も言いません。みんな惹きつけられそれを実現させたくなります。

なぜ組織を変えたいのかリーダーたちに聞いていると、彼女と同じく容易に答えは出てきません。心の奥を覗く習慣がないからです。最初は頭で答えを考えています。“ティール組織をつくりたい”と言う人に私はこう伝えます。“概念は忘れてください。それは心の奥底の想いじゃない。”アジャイルで革新的な組織になりたい”“従業員の意欲を上げたい”などと答えたらそれもまだ違います。心からの動機は別にあるはずです。動機がそれだけならやめた方がいいですよ”と伝えます。

大学病院の例で話したように、背景を掘り下げることはできるのです。廊下で見た光景に経営者はなぜあんな反応をしたのか。多くの経営者は違う反応をするでしょう。“意欲向上研修をしよう”とか“もっと意欲ある看護師を雇おう”とか彼女がそう思わなかったのは過去にどんな体験があったからなのか掘り下げていくと幼少期に由来することもあります。順序が逆の人もいます。RHDの創設者ボブ・フィッシュマンが自身の経験をつづった本は幼少期に毎晩寝床で両親が怒鳴り合う声を聞いていたという思い出で始まります。もっとよい方法があると当時から思っていたので、自身の組織を立ち上げたとき従来の方法は取れませんでした。よりよいコミュニケーションを学ぶという、心からの動機に沿っている必要がありました。ボブ・フィッシュマンの話も病院経営者の話も、頭で考えたものではなく心の奥底から出てきたものです。

ここであなたに質問です。”あなたを本当に突き動かすものは何ですか?”この問いが この後の旅の難易度を左右することが分かってきました。驚くほど 本当に驚くほど大きく影響します。

この心の奥底からくる想いをうまく汲み出してはっきりと人に伝えられるかどうかが変革に関わるのです。そう心から確信しているのでぜひ考えてほしいのです。この深いエネルギー源を使ってそれをうまく伝えられれば。驚くほど物事が進み周りの協力を得られます。できなければ多くの抵抗にあうでしょう。

想像してみてください。例えば 3階層に分かれた中間管理職のしくみを刷新したくなったとします。このままでは やりたいことを邪魔するばかりだから と。それをあなたの奥底にある、個人的なエネルギー源である体験談と関連づけて語れれば3階層を取り除く意義を人々も理解するでしょう。そうすべき理由があると賛同してくれます。それができなければ理解は得られません。トップダウンの命令だと反発するでしょう。

このように深い動機をうまく伝える力はあなたの旅に根本的に必要です。だから始める前に 動機をできるだけ明確にしてください。既に旅を始めているなら今すぐしましょう。リーダーたちにおすすめするのは手伝ってくれる人を見つけることです。独りではきっと無理なので、あなたを助けて 動機を掘り下げてくれる人が必要です。では誰に頼むのか。たとえば 配偶者、親友、同僚、コーチ、あなたをうまく支援してエネルギー源に到達させてくれそうな人。信頼できて 穏やかだけれど断固とした人が適任です。そしてこう頼みましょう“物語を明らかにするのを手伝ってほしい” “そのために フィードバックを与え続けてほしい” “頭で考えて話しているうちはまだまだだ” “話が心に響きはじめたら教えてほしい” “あなたの心が動くときは核心に近づいているはずだから”と。


この探求をぜひ楽しんでください。お約束します。自分の動機を見つけて物語として話せるようになれば、これまでの人生やキャリアで体験し感じ切望してきたことから物語をもっと見つけられるようになれば、旅全体がやりやすくなるでしょう。みんなが旅に意義を感じ、自分も参加したくなるからです。では 心の奥の探求を楽しんでください。

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