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1.Thoughts for top leaders

1-11 空間を保持(ホールド)する(Holding the space in the transition)

ひとつ前の動画では、CEOの役割について語りました。新しい組織において、CEOが受け持つのはCEO専用の決まった職務ではなく、社員と同様の流動的で細かな複数の役割です。その役割のひとつが“空間の保持”でした。書籍でも語っていますが、そこで焦点を当てたのは空間を保持するという役割のなかでも、新しい組織を目指す空間を維持するという点でした。周りが昔のやり方に戻ろうとしたら、つまりルールや規則や階層を再び導入しようしたら、そのやり方は違うと伝えて進化型組織の空間を保持するのです。

この動画では、ある1点に絞って語りたいと思います。変革の初期段階における空間の保持について詳しく説明します。

良い比喩があります。チリのウーヴェ氏が私に使った比喩です。彼はCEOの役割について次のような比喩を使いました。変革へと向かう組織のCEOは小さなボートを海岸から海へ押していく人です。ボートを進めだしたら最初の波を越える必要がある。そのためにはしっかり舵を握り、ボートを進め続けねばなりません。最初の波を越えて海に出てからは、もっと楽に進んでいけるとても良いイメージです。空間の保持という役割も、変革の最初の波を越えるには、特に力強い舵取りが必要になるのです。実際の行動としては、とりわけ重要な役割になるのが、組織の最初の冒険者を支えていくことです。新しいことに挑む最初のチームを守るのです。自主経営・全体性・存在目的、どれに取り組むとしてもです。リスクをとって先陣を切ると、組織からの抵抗を受けます。“これまでと違う”と批判されるのです。先行するチームが生き残るためには、リーダーの手厚い保護が必要です。リーダーが特に気をつけておくべき相手は、妨害してくる人です。意図的な妨害ではなくとも、新しい試みを批判してくる人です。経営陣や身近なメンバーかもしれません。リーダーは速やかに介入して経営陣や身近なスタッフを説得し、勇気を持って歩み始めた人たちを守りましょう。

そこで興味深い問いが浮かびます。実際何人かのCEOからも聞かれました。組織のなかに優れた業績のスター社員がいて、新しい組織に抵抗しても許されていないでしょうか?言い換えると、リーダーがスター社員を手放したくないからといって対処せずに済ませていませんか?とても面白い問いです。考えてみましょう。あなたにとって変革はどれほど大切でしょうか?変革のためにスター社員を失う覚悟はあるでしょうか?

失わない工夫をしている組織もあります。明確な会話を持つことによって目指す方向や戸惑いへの理解を伝えるのです。そしてスター社員に与えられる役割を探します。スター社員が抵抗を感じない形で、組織のために能力を存分に発揮できるようにするのです。たとえば役割の一例としてはアドバイス役になってもらうことです。意見や知識を周りに伝えられる一方で、周りに意見を押しつける形にはなりません。

するとこう思います。保護や積極的な介入が役割なのだとしたら、かつての独裁とはどこが違うのでしょう?“またCEOが気まぐれを社員に押しつけてる”という状態です。独裁との違いをつける方法のひとつは次のようなものです。リーダーが“なぜ”と“何”を明確にしていきましょう。目指す方向を明確にする。このシリーズ序盤の動画を思い出してみてください。“変革に乗り出す動機”についての動画です。心の底からストーリーを語り、変革は自分の核に関わるものなので、昔の方法には戻れないと伝えましょう。周りは理解しついてきてくれます。何がなぜ大切なのかを明確にするのです。どう実行するかはオープンにして周りを誘うスタンスでいましょう。たとえば経営メンバーに言うのです。“すみませんがそれは許容できません” “変革の動機を思い出してください” “答えは分かりません” “あなたがどう役割を果たすかは分かりません” “でも一緒に考える機会を持てて良かった” “特定の答えを押しつけはしません” “何をどうしていくかを自分なりに見つけてください” ボートの比喩を続けると、しっかり保護して最初の波を越えたら、組織に以前よりも考えが浸透し、受け入れられて物事がスムーズになる。古い抵抗勢力は弱まり新しいシステムが強くなる。そうなると興味深いことに、空間の保持というリーダーの役割は軽くなります。

リーダーが目指し望んでいるのは、空間を保持する人を増やすことです。こう言う人を増やすのです。“このやり方は違う” “新しいやり方を試してるんだから” こうした兆候が現れるとダンスが始まります。踊るのは周りの様子を見てからにしようという譲り合いがなくなります。リーダーは後押しもできます。同じ志を持っているのに声を上げられない人に言葉をかけるのです。“ぜひ声を上げてください” 空間の保持を多くの人に担ってもらうのです。そうしてやがてCEOは“最後の砦”となります。誰も指摘しない時にだけ口を出す。次のようなダンスが展開するのです。“まずは周りの声に任せて後押しに回ろう” “本当に必要な時だけ自分が登場して空間の保持の役を果たそう” 

しかし変革初期は、しっかりと舵を取って速やかに介入し、最初に挑むチームを守りましょう。自分では気づきにくいのですが、リーダーが自分にとって大切なことや新しい方向性を示すと、多くの人に浮かぶ最大の疑問はこうです。 “本気なのだろうか?” “リーダーは本気だろうか?” “必要な時は協力し守ってくれるだろうか?” それが多くの人に浮かぶ大きな疑問です。リーダーは最初の波を越える手助けをして海へと導きましょう。

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