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4-3.Self-management: teams, colleagues and former managers

4-3-1 役割を振り分けてマネジャーを置き換える(Distributed roles replace the manager)

自主経営に移行するとある基本的なことが起きます。チームのリーダーやマネジャーが担っていた役割が、チームメンバーに振り分けられるのです。今 役割と呼びましたが、私はビュートゾルフの自主経営に携わったフェルメールとウェンティングの考え方に賛成です。彼らは役割よりタスクと呼ぶ方が好きだと言っています。タスクがチーム中に振り分けられることが重要なのです。役割と呼ぶとエゴや個性が付随する傾向があり、役割で給料が上がるのかといった疑問が出てきます。彼らが目指すのはシンプルに、健全な状態で、必要なタスクが誰かによって遂行されることです。

自主経営に移行する組織から話を聞いて印象的だったのは、マネジャーの役割をメンバーに振り分ける段階がうまく実行されていないことです。“もうマネジャーはいない”と言うチームでも、役割を調整したり指揮する人がいることがよくあります。それは単に呼び方を変えただけで、チームリーダーやマネジャーという箱を見ていません。その箱の中の役割を見なければならないのです。その作業は非常に有効で細かく、5個や20個の役割に定義することができます。

私が妥当だと思う役割のリストをご紹介します。まずビジョンを設定し、チームを鼓舞する役割。チームへの高い期待を常に思い出させて、その結果を監視する役割。フィードバックや評価に関する会話を調整する役割。対立の仲裁などに専門知識を提供する役割。このように多くの役割がリストに上がってきます。

過去にマネジャーが担っていた典型的な役割です。独自のリストを作ってチームにふさわしい役割や振り分け方を考えましょう。リストにはないもののぜひ勧めたいことがあります。それはコーディネーターやリーダーなどの名称です。それらの名称には意味がありません。肩書きという名詞ではなく、何をするかという動詞で必要なタスクを提示してください。

リストを見て もう1つ興味を引くのは、実にシンプルなことです。過去に1人のマネジャーがすべての役割を担っていた場合、その人は役割のすべてが得意でもすべてが好きでもありません。たいてい そのマネジャーは自分の好きな役割をこなし、好きでないことには手をつけません。私がマネジャーで対立が嫌いなら、断固として対処を避けるため対立が起き続けます。または実績評価が嫌いで自分が好きな技術的問題の解決しかしなければ、他の物事は放置されます。

自主経営の素晴らしい点はタスクが必ず分配されることです。メンバーは好きで得意なタスクを選ぶことができます。自主経営組織で業績が上がることが多いのは、それぞれが得意で好きなことをしているからです。それは自主経営を理解する基本です。その根底にあるのは仕事への情熱や熱い思いなのです。

では どうやってそれぞれの役割やタスクを定義し、チーム内で振り分けるのでしょう。多くの組織ではシンプルな方法をとっています。メンバーが集まってチームミーティングを開き、マネジャーの過去の担当タスクや想定タスクを書き出します。

チーム全体のためのタスクです。他のリストを参考にしても、独自に作ってもいいでしょう。元チームリーダーのタスクのリスト化に並行して、チーム内の全タスクをリスト化し、全員が肩書きではなく役割を持つようにするのです。フリップチャートやホワイトボード、紙に書き出してもいいでしょう。多くのチームで メンバーは好きな役割に立候補するそうです。“このタスクをやりたい”と声を上げるのです。メンバーは互いに強みを知り、フィードバックし合います。

複数の人が同じ役割に立候補する場合や、誰も立候補しない場合があります。たとえば どんな家庭でもゴミ出しが好きな人はいませんが、誰かがやらねばなりません。そこに原則を作るとすれば役割を持ち回りにすることです。好きな役割を担える一方で、誰も好きではないけど必要な役割を担うのです。1つの役割を複数の人で担うこともあります。責任という意味では厄介ですが、そういうケースもあります。非常に重要な役割の場合は、必要に応じて正式な手続きをとることも可能です。

今 頭に浮かぶ 素晴らしい方法はソシオクラティック選挙です。ネット検索で出てくるはずです。フランス語の直訳は“候補者のいない選挙”で、これも素晴らしい言い方だと思います。まずチームのメンバーたちが社内政治は抜きにして、各役割に必要な能力を見定めます。役割に必要な能力が分かれば、チームで誰が最適かが分かります。候補者は存在せず、ただ名前が挙げられて1人が選ばれると、皆でサポートしていくのです。

注意すべきルールは2つです。役割やタスクを割り当てる際に覚えていてください。

1つ目は1人に役割が集中するのを避けることです。ビュートゾルフの例を紹介します。同社では複数のチームで、元マネジャーの役割の多くが1人に集中してしまいました。年長者や元チームリーダーに役割が集中したので、あまり前と変わりません。彼らは それを防ぐルールを作り、必ず役割が分散されるようにしました。このルールが通じない業種もあります。たとえばフランス北部にあるFAVIで調査をしたところ、同社は常に機械を動かしていました。操業中の機械を離れるのは困難です。機械を離れた時にできるタスクもありましたが、いつでも対応が必要になるタスクもありました。それらのタスクはある人に集中しており、チームリーダーと呼ばれていました。このように タスクの集中が必要になる場合もあります。その際は別の場面で自主経営をきちんと実行するのが重要です。助言プロセスと人事機能にはピアベースのプロセスを使い、その人が他のメンバーに対して、権力を持たないようにします。ルールの1つ目は役割の集中を防ぐことです。

検討すべき2つ目のルールは、役割を一定期間でローテーションさせることです。いくつかの組織ではこれがうまくいっています。役割の分散は緊張状態を生みます。その役割で能力を伸ばしたい気持ちはあるのに、その役割が固まって再び地位になることはありません。その状態に対処するために、強制的なローテーションを選ぶ人もいます。半年や1年 2年ごとに役割を交代させるのです。それが難しい場合もあります。たとえば私はチームの継続的な発展をチェックするのが非常に得意で、皆も認めてくれているとします。私とチームにとって“継続しよう”と言うのは簡単です。でも長く留まればリスクがあります。他の人たちに学ぶ機会が与えられないからです。私は自分の領地の周りにわずかな権力を築いてしまいます。役割を循環させることでそれを防止できます。以上です。

今回、何より伝えたいのは役割やタスクを振り分けることです。マネジャーやチームリーダーの箱に入っていた役割やタスクです。手を抜いて 勝手に調整役やリーダーの役割を作らないこと。役割を定義してチーム内で振り分けましょう。

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