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4-3.Self-management: teams, colleagues and former managers

4-3-8 自主経営の痛みを語る空間(Spaces to talk about the pain of self-management)

自主経営は私たちを芯から試してきます。昔の思考からの脱却や、学び直しが必要になります。
学び直す内容は慣れればシンプルなもので、常識に近いものです。学び直すのはロケットのことではなく、シンプルなことです。

とはいえ大きな挑戦であり、親しんだ行動やアイデンティティに変化が迫られます。

元マネジャーは自己イメージを含め、多くを手放す必要があります。もはや、出世階段を上り権力を持った人物でも、組織図の上に位置する人間でもないのです。それをつらく感じる人もいるでしょう。
かつて階層の下に位置していた人も同じです。これまで責任を負う仕事ではなかったため、責任を持って自分の力を発揮するシステムになると、初めは実践が難しいでしょう。

“交流分析”の理論を使い、組織内の関係は親と子の関係や大人同士の関係として説明できます。従来のピラミッド型組織は、親と子の関係です。マネジャーが親で、部下が子のように動きます。
それを大人同士の関係にするには、大きな学び直しが必要です。

そこでの経験を語り合える空間をつくることは、精神的な負担を大きく軽減できる可能性があります。
仕事に人間性が取り戻され、全体性のための空間ができます。
自分の経験や感情をオープンに語り合う空間です。

私の経験上、そうした空間は多くの人に大きな安心を与えます。“周りも苦しんでいる”と知ることができるからです。
“苦しいのは自分に問題があるからで周りには隠したいと思っていたけど、みんな同じように苦しんでるんだ”
それは大きな安心になります。

それから、いい刺激にもなります。今の苦しい自分より先に進んだ人も知れるからです。
その人は生き生きしていて、自主経営を通して新しい力を享受し、別人のように生まれ変わっている。こちらはそれに励まされ、その人の話に耳を傾ける。
勇気やエネルギーや支えになります。

これはメンバーだけでなく、移行にとっても大きな利点です。なぜなら、自分の疑念や不安を語る空間がないと起きてしまいがちなのが、自分に問題はなく、システムに問題があると責任転嫁することです。
“自主経営がダメだ。あれもこれもダメだ”
そうやって、自分の問題や疑念や痛みを組織のせいにすると移行がとても難しくなります。そのため、話し合える空間の確保を強くお勧めします。

方法はさまざまです。大組織なら別々のチームからランダムに人を集めてもいいでしょう。
あるいは、より効果的なのは一緒に働いているチーム内での話し合いです。毎日一緒に仕事をしている仲間たちが苦労をオープンに語り、こちらも正直になれば、チームに深い理解や信頼が生まれます。それが自然なやり方です。
私が話を聞いた ある組織では、元マネジャーたちだけで集まって語り合っていました。 方法は、たくさんあります。

どんな形であれ重要なのは、外部の優れたファシリテーターに空間を保持してもらうことです。
安心できる聖域をつくる必要があります。

そこではメンバーたちが安心して仮面をはずし、自分をさらけ出して痛みや喜びを語るのです。
その専門家や方法論は多種多様ですが、ポイントは人を裁くような目を空間から取り除くこと、そして深く耳を傾ける空間をつくることです。
意見を正したり、除外したり、注意したりしない空間にしましょう。

この点について見事に描かれている本を紹介しましょう。パーカー・パーマーの『Hidden Wholeness』です。
空間のつくり方がよく描かれた本ですが、この点に詳しいファシリテーターもたくさんいます。

ファシリテーターが注意すべき点の1つは、私たちが“外側”について語るのに慣れていて、“内側”について語るのを怠っている点です。良い会話とは両方のバランスです。
たとえば新しい役割への適応の仕方が分からないとか、助言プロセスでの役割が何かなどは“外側”についての会話です。一方で“内側”の問題もあります。移行にどう対処する?この不安はどうしよう?

優れたファシリテーターはそのバランスを取れます。
放っておくと外側の行動や、ヒントばかり話しがちです。外側と同じくらい興味深いのが、信念やマインドセットなど人の“内側”に関連する部分です。

ぜひ こうした空間をつくってみてください。
メンバーは強く安心するでしょうし、不安を移行のせいにしないので道のりが容易になるでしょう。

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