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4-1.(mis)understanding self-management

4-1-5 誤解1:自主経営はリスクだ(Misconception 1: It’s risky)

自主経営に関心を持っている人も内なる声と葛藤しているかもしれません。
“自主経営はリスクがあるように感じる”
とても真新しいものであるとか、謎めいていて未実証で実験的だと感じるのです。でもそれは誤解です。リスクは高くありません。実験的でも真新しくもありません。

たとえば、本で紹介した自主経営組織は、サン・ハイドローリックスもモーニング・スターも創設は1970年代です。つまり現在までに50年ほどの経験値があるわけです。「ゴアテックス」のW・L・ゴア社も1958年から自主経営的な組織です。フランス北部のFAVIは、1983年からジャン・フランソワ・ゾブリストが変革を行い、自主経営へ移行しました。何十年も自主経営を行う組織はたくさんあるのです。
これらの組織は数々の不況を経験してきました。どこも浮き沈みのある業界ですがどんな不況も切り抜けてきました。未実証などではありません。

ビジネスの世界を離れて考えてみると、もっと長い歴史があります。
たとえば軍の特殊部隊です。海軍特殊部隊のようなエリート部隊で、敵地に潜入しビン・ラディンを暗殺したような組織です。こうした組織はずっと自主経営的です。これほど複雑な組織は、自主経営でこそ機能するからです。『チーム・オブ・チームズ』という本で、マクリスタル大将が見事に解説しています。
もっと別の巨大組織もあります。アルコホーリクス・アノニマスです。1930年代に設立され180万人が参加しており、自主経営的なグループが世界に10万以上あります。つまり自主経営は真新しくもないのです。

『The Age of Heretics』という素晴らしい本では、これまでの実践例がまとめられています。20世紀からの歴史です。自主経営を取り入れた組織や工場が、素晴らしい成果をあげてきました。昔は自主経営が少し続いても、従来型のマネジャーがやってきて前の経営体制に戻すことも多かったとはいえ、どの実践例も成功しています。自主経営は真新しいことではないのです。

業界にもよるでしょう。製造業界やコンサルティング業界にいる人、IT企業などは自主経営を行う組織の例が他にもたくさんあります。しかし、完全な自主経営型の銀行など10もないでしょう。例外や実験はあるにしてもです。自主経営型の病院も、10はないでしょう。先行した実験があるにしてもです。
つまり分野によっては前例のない試みかもしれません。その場合も自主経営自体は新しいものではなく、頼りにできるような知識の蓄積があります。

私たちは自主経営の原則だけでなく、具体的な慣行も知っています。
自主経営をするなら意思決定や紛争解決の方法を変え、実績管理の方法を変えるなど基礎の部分に変更や更新が必要だと知っています。その変化の効用が多く記録されています。私や他の本だけでなく、書籍で紹介した慣行についてのwikiページもあります。
つまり原則だけでなく慣行も知見が豊富なのです。むやみに真似する必要はないですが、情報を無視して自力で進むのも損です。

自主経営組織の数というのは、もちろん従来型の組織に比べると少数です。しかし新しくも未実証でもリスキーでもありません。危険だと感じる人もいるでしょう。自主経営について読んだり実際に見たりしたことがなく、初めてのことに戸惑って言うのです。
“普通じゃないしリスキーだ”
それは誤解です。何か愚かなことをしない限り、たとえば構造を壊すだけで新設をせず、先ほど語った基礎を取り入れないといった愚かなことをしない限り、どんなときも自主経営の成果は多大です。
理由は明白でしょう。メンバーは意思決定権を与えられ、決断の質や速度や回数が増し、モチベーションも上がるなど自主経営が機能する理由はたくさんあります。だからリスキーだとか風変わりだというのは誤解です。

おそらく必要なのは、自主経営について学習や読書や見学をして自主経営のことを深く理解することでしょう。
私としては、自分が起業をするなら従来型組織の方がリスクです。私の良心にも危険を招き自分や周りの精神面にとってもリスクでしょう。経営面でもリスクかもしれません。

それが自主経営をめぐる1つ目の誤解です。
新しくも、未実証でも、リスキーでもありません。

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