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4-1.(mis)understanding self-management

4-1-11 自己修正システムを理解する(Understanding self-correcting systems)

今回は自主経営を理解するうえで、重要な動画です。
従来の組織において運営モデルの核心にあるのは、“階層”です。いわゆるピラミッド構造です。
一方自主経営の核心にあるのは、“自己修正”です。環境に適応するために絶えず自己修正する力です。
これは従来の考え方とは違い、新しく学び直す必要があるので、これまでの内容を振り返りながら分かりやすく進めましょう。

私たちの多くが抱いている経営のイメージと言えば、“機械のように動くのが良い組織”というものです。つまり私たちの根底にはこんな考えがあるのです。
“機械のように動くのが良い組織だ”
スムーズに動く組織です。機械はスムーズに動きます。それを確実に動かすのがリーダーの仕事です。そのため円滑な運営を阻むものは問題と見なされます。そしてリーダーの役割は、問題の発生を防ぐことなので、起こりうる問題をあらかじめ想定し前もって手を打ちます。なので従来の組織は、リスクや起こりうる問題を事前に検討し、際限なく会議を続けるのです。

それに加えて、“問題発生時はリーダーが積極介入する”という考えもあります。介入して問題を解決するのです。さらには“二度と同じ問題を繰り返さない”という考えもあります。その結果、官僚制度が導入されていくのです。
“誰かが署名する承認制度が必要なのかもしれない”
“全員が従う手順やプロセスが必要かもしれない”
私たちはこれらを組織運営だと考えています。問題の未然防止と事後処理、そして官僚制による再発防止です。

しかし、組織を機械ではなく生命体だと考えてみましょう。

生命体は、絶えず変化する環境に生きています。太陽や気温のみならず、食べる物も変化します。
環境が常に変化するので、すべてスムーズであるべきとは考えなくなり、多少のブレも問題とは思わなくなります。“環境は常に変化する”という中立的な考えになり、生命体として“変化のきざし”を感じ取ろうとします。好機や緊張や問題を察知するのです。

だから目標は、そうした変化の兆候を感じ取ったら、すぐにシステムが自己修正していくことです。これから起こりうる問題のことはあまり考えません。考えるのは注意すべきとても重大なリスクくらいで、常に先々の問題を考えはしません。代わりに何をするかと言うと、よく耳を傾けようとするのです。環境の変化を感じ取ったら、自己修正していきます。
つまりあるチームに問題が起きたときに、上から誰かが介入してきて問題解決を図るのではなく、目標とするのはチーム自身が問題を感じ取り自己修正することです。これも“感じ取り反応する”ことの1つです。

しかし自然に実現するわけではありません。ひとつ前の動画でお話したように、多くの組織における自主経営の認識は少し単純すぎます。
“自主経営は、信頼に基づいている”
確かにそうですが、信頼は土台であり、その上には構造や慣行やシステムが必要であり、それらが生命体の自己修正を可能にします。変化を受けてすぐに修正するのです。

自己修正を機能させるためには3つの基本原則が必要です。その3つを紹介します。

1つ目は“心理的オーナーシップ”です。
組織のメンバーが抱く感情のことであり、組織や仕事に持つ当事者意識を指します。組織や仕事を大切に思うことです。

私の知る自主経営組織には、必ずこの要素があります。人は自ら積極的に関わろうとし、良い成果を目指すものです。極端な状況でない限りは、仕事や上司を憎むようになったり、心理的オーナーシップを欠いて不信を抱くことはありません。
なので、あまり心配はないですが念のため忠告します。自主経営の実践は、あまり急ぎすぎず心理的オーナーシップを育ててからにしましょう。

2つ目の重要な原則は、組織の誰もが仕事や行動の結果を、直接体感することです。
シンプルに言い換えると、組織の全員が直接仕事に伴う痛みと誇りを感じる必要があります。

その観点で眺めてみると、次のことに気づいて驚きます。ほとんどの組織において、メンバーたちは自分がした仕事の結果から遮断され、切り離されているのです。何か仕事をしても、それが意義のある仕事なのか感じ取れないのです。その仕事の影響や、善悪も分かりにくくなっている。

たとえば組織内のチームでなぜか雰囲気が悪くなり、メンバーが怠けだしたり、生産性が落ちてきたとしても、多くはその結果を実感することがありません。遠く離れた財務部の誰かが、成績不振を上役に伝え、その上役が問題解決にあたる。あるいは、苦情係に寄せられる苦情が増え始め、そこから報告が上がってくる。基本的に、私たちは仕事の結果に伴う痛みから遮断されているがために、自己修正できないのです。
優れた仕事に対する誇りも同じです。たとえば問題が生じてそれを全力で解決したら、誇らしいはずです。しかし多くの組織ではそうした仕事から切り離され、達成感を抱けなくなっています。

これはとても重要な原則です。システムをつくりましょう。
組織の全員が、仕事の結果をすぐに実感できるシステムです。良い結果なら自分を誇り、どこかに悪影響があれば痛みを感じるのです。

もう少し詳しく言いましょう。直接的なフィードバックを生み出すためには、3つの要素が必要です。
1つ目は、チーム全体として何が“健康”な状態か統一見解を持つことです。ここでも体温を例にして説明したいと思います。体温というのはだいたい36〜37度でありそれが健康な状態です。チームも同じように何が健康な状態か知るべきです。
何が“良い仕事”でしょう?

2つ目に必要なのは、データによる絶え間ないフィードバックです。たとえば身体はデータをとって体温を監視しています。そのデータは、具体的な指標でも感覚でもあり得ますが、大切なのは自分たちの仕事の結果が健康かどうか感じ取ることです。

3つ目の要素は、対話の場を設けることです。感じ取ったことを共有するための場所です。データを見てから対話をし、良くない部分は修正し好機があれば掘り下げていくのです。何が健康かを把握し、データを取り対話をしましょう。

そして最後の原則。
“心理的オーナーシップ”と“結果の実感”に続く原則は、組織の誰もが変化を起こす権限を持つことです。

たとえば現在のチームの仕事の質に不満を感じていて、良い仕事をしていないことに痛みを感じているとしたらすぐに行動を起こしたいものです。承認を課されるべきではありません。上司やさらにその上に変化の必要性を説くのではなく、助言プロセスなどを使いすぐ行動できることが大切です。

以上になります。これらの原則はとても重要なものです。認識を変えましょう。
“組織は機械のようにスムーズに動くべきだ”
“マネジャーの役割は問題の未然防止と事後処理そして官僚制の導入”
そういう認識を変えましょう。組織は感じ取りながら自己修正するものです。

必要な3原則は、心理的オーナーシップと、直接仕事の結果が返ってきて自分のした作業に誇りや痛みを感じること。そして、必要なら自分で変化を起こす権限があることです。

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