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4-1.(mis)understanding self-management

4-1-20 シナジーと規模の経済(Synergies and economies of scale)

前回の動画では、組織のサポート機能の多くがチームに再統合される過程を話しました。人事調達メンテナンスといった業務の多くは、いまや組織の中心部ではなくすべてチーム内で行われるため心理的オーナーシップを持って迅速に対応できます。それは真っ当な変化です。

しかしそれはこんな疑問も生みます。
“シナジーや規模の経済が失われるのでは?”

中央による調整がなく各チームが自由に動くなら、同じ形は量産できない?コストが上がってしまう?
認識すべき大切なことは、“規模の経済”という考えが深く根付いているという点です。伝統的なピラミッド型の組織運営に深く根を下ろしています。なぜなら抽象的なものが計算しやすくなるからです。
“各チームの人事を中央集権型でやればコストは2割減り質も上がるからずっと続けていこう”
しかしながら現実には削減の予測は達成されず、少しも削減できない場合もあり、質が上がるどころか正反対のことが起きます。なぜかコストが膨らんでいき、動きが鈍くなり質も低下します。各チームが不満を抱くのも無理はありません。
“中央からのサポートの質は本当にひどい”

私は最近実例を聞きました。ある病院勤務の人たちの話です。話によると政治的な理由からコスト削減することになり、多数の病院のネットワークが1箇所に集約され人事機能も中央に移されました。
私は頭を抱えました。結果が想像できたのです。結果は散々なものになり、コストも膨らんで質もひどく低下するでしょう。
忘れた頃に結果はどうだったと思うか尋ねられました。彼によると私の予想通りだったそうです。サポート機能は壊滅し、マネジャーは多くの時間を注いでほとんど機能しない人事の埋め合わせに奔走しました。

私たちは規模の経済を過大評価し、“モチベーションの不経済”を見落としています。
では自主経営はどう対処している?
原則としては、シナジーと規模の経済を自発的に追求させるのです。チームが自然と追求するのです。

適切な環境を得たチームは、たとえば仕事の結果を直接体感できるチームや自分たちで予算を運営したり顧客と直接対峙するチームは良い機会を求めています。

例はたくさんあります。本で紹介したのはモーニング・スターです。ケチャップやトマト製品を扱う組織です。この会社では各工場のチームが自発的に集まって話し合います。
“うちもそっちも潤滑剤を注文するなら一緒に買えば安くなるはず”
中央に調達部門を置くのではなく、ボランティアが出てくるのです。
“自分が潤滑剤を担当する。3ヶ月ごとに各チームを訪ねて注文をまとめます”
多くの組織で見られることです。

組織間でも行われます。私が覚えているのはファッション小売業者が集まったグループです。同じオーナーを持つ14の組織が集まっていました。彼らは組織を越えた特別チームを複数つくりました。あるチームは全組織のEコマースの企画を担当しました。これはほんの一例です。

この方法は理にかなっています。このようにどんな状況でも、各チームや各組織に主導権を委ねましょう。全体への指示役を雇ってはいけません。その人が力を持って押し付ける形になるからです。力は内側から出てくるべきです。自分たちで対処可能か判断は任せましょう。
“調達は私がやる”と誰かが言うか、手に余る場合は誰かを雇いましょう。みんなの代理として誰かが雇われるのはシナジーが生まれる場合に限ります。

FAVIの例は素晴らしいものです。FAVIには製造チームがたくさん存在します。各チームは互いの優れた慣行を学びたいと思っていました。しかしそれは難しかったので、1人のエンジニアが代表となり、彼が人を集めて話を聞いたり良い慣行を調査しました。この役割は全員が意義を認めて初めて存在できます。そうでなければ消えるだけです。

目指すべきは両方の利点を活かすことです。モチベーションを維持しつつシナジーを生むのです。

その最善の方法はチームの自発性に任せ、シナジーのためにチームを募り必要があれば人を雇うことです。そのための最善の方法は前にも語ったように、チームが仕事の結果を直接実感しコストや質に責任感を持つことです。
そうすれば品質向上やコスト削減といったシナジーの機会に飛びつくはずです。

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