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書籍紹介『フリーダム・インク――「自由な組織」成功と失敗の本質』(英治出版)

ティール組織ラボの読みもの内の「ブックレビュー」カテゴリーでは、ティール組織や進化型組織の理解や実践に役立つ書籍群を紹介していく予定です。第2弾は、フリーダム・インク――「自由な組織」成功と失敗の本質 アイザーク・ゲッツ (著), ブライアン・M・カーニー (著) です。

 ティール組織ラボのメディア公開(2023年12月4日)と同時に第1弾 として紹介したのは ゲイリー・ハメルのヒューマノクラシー(2023年12月6日に英治出版より発売)でした。来年初めには、もう一つ注目している本『フリーダム・インク』が翻訳されます。優れた書籍が同じ時期に2つも日本に登場するという、タイミングの妙に感動しています。

 以前、「さあ、進化型組織の探求をはじめよう」という記事で、海外で発行されている、従来型の組織の延長線にはない新しい組織の形(進化型組織)の潮流を書籍ベースで紹介させていただきました。『フリーダム・インク』は原著が2008年に発売されていて、一連の進化型組織の書籍群の最古参に相当する書籍です。そう書くと、なんだ古いのか?と思われるかもしれませんが、いまだに色褪せないというか、そこにある本質は今こそ必要とされている気がします。特にオススメなのは、進化型組織の旅路が具体的に示されていて、そのチャレンジが今でも役に立つところです。経営者や組織内のチェンジエージェントが焦点になっているため、組織について日々試行錯誤しているみなさんにぜひ手をとってもらいたいと思っています。

では他の書籍の違いから、『フリーダム・インク』の紹介を試みてみましょう。

『ヒューマノクラシー』が「ロジカルに官僚組織の潜在的に持っている課題とそれを乗り越える方向に関する原則を語っている」のに対し、『フリーダム・インク』は章ごとに「事例を絞ってストーリーで展開」しています。そのストーリーの1つ1つが胸を打つものが多く、論理で語ってもピンときづらいニューパラダイムの姿が浮かび上がってきます。

『ティール組織』も事例が豊富に記述された書籍ですが、テーマごとに小さく切り取って記述されているのに対し、『フリーダム・インク』ではまとまったストーリーが語られています。実際に変化の旅路を歩んでいる人たちにとっては、没頭感と共に大きな勇気がもらえると思いますね。

読後感が近しい書籍はなんだろうと思い浮かべてみると、『THE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ』ユベール・ジョリー等(著) なのですが、『フリーダム・インク』は複数の事例のストーリーが紹介されていることが違いと言えるでしょう。

何よりも読んでて嬉しかったのは、W.Lゴアの事例がくわしめに記述されていることです。W.Lゴアとは、従来型の組織とは違った組織形態としてセムコ社と並ぶ老舗中の老舗、ゴアテックスのW.Lゴアのことですが、読んでみてやはり素敵な会社だなと感じました。他にもユニークな経営をしている組織がたくさん登場して楽しませてくれます。

今回は発売を記念して、導入となる紹介記事となりましたが、今後も折を見て『フリーダム・インク』からの学びを詳しくシェアしていきたいと思います。お楽しみに!

2023年 12月27日 嘉村賢州      

Writerこの記事を書いた人

嘉村 賢州

Kenshu Kamura

集団から大規模組織にいたるまで、人が集うときに生まれる対立・しがらみを化学反応に変えるための知恵を研究・実践。研究領域は紛争解決の技術、心理学、先住民の教えなど多岐にわたり、国内外を問わず研究を続けている。

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