ビデオシリーズ

Video Series

ホーム > ビデオシリーズ > 4-4-7 キャリアアップはどうなる?(What happens to career progression?)

Top page

4-4.Self-management: typical issues

4-4-7 キャリアアップはどうなる?(What happens to career progression?)

よく質問を受ける事柄ですが、多くの組織でキャリアアップの疑問が湧いてくるようです。例として先日届いたメールを紹介します。
“チームはあなたの著書に夢中になっています”
“しかしマネジャーの中にキャリアの展望に悩む者がいます”
“チームが拠点としているインドの文化では、役職やチームが大きくならないとキャリアアップだと思われないのです”
この種の疑問が湧くのはインドに限りません。

私たちはキャリアアップで自分の価値を計ってきました。そのため自主経営に移行すると、多少の適応が必要になります。出世の階段を上る競争がなくなるからです。適応法を紹介しましょう。

まず痛みを感じている人がいるのを受け入れることが重要です。
外部からの承認が欲しい人もいるのです。そういう人を責めてはいけません。しかし、失望を表明するリーダーもいます。
“もう外からの承認をモチベーションにすべきじゃない”
“内発的な動機を持つべきだ”

その気持ちは理解できます。でも何よりの原則は、まず現実を受け入れることです。
人を変えたいと願っている場合、崇高な動機ではなくエゴを通して物を見がちです。承認が必要な人もいる現実をまずは受け入れましょう。
では その方法は?4つ案があります。

1つ目はその人たちと話すこと。そして、確かに権力の階層はなくすと説明するのです。

でも自主経営組織では、自然な階層が数多く生まれます。スキル、専門知識、率先力などをもとにさまざまな階層が生じるのです。だから自主経営組織にも承認は存在します。皆、理解していきます。
誰がこの特定の事柄に詳しいのか。
誰が納期通りに複雑な企画を進めるか。
誰がこの分野に詳しいか。
そのため、自主経営組織にも認められる機会は多くあります。

たとえば、助言プロセスに誘われた回数でも分かります。
あなたが上層部の人なら経歴や専門知識や経験を見込まれて、頻繁に助言を求められるはずです。私が下層部の人なら助言を求められることは、まれです。専門知識が少ないからです。
つまり助言プロセスは、メンバーや年長者の貢献を評価する素晴らしいメカニズムです。

それが1つ目で、2つ目の方法は多くの組織では公式な階層的階段がなくても、経験豊富な人ほど貢献でき利益も生み出せます。その結果、給料が上がります。それは、これまでの形に似た貢献方法の1つです。

ただし不健全な要素は排除しましょう。“200人を従える上司”といった概念は捨てるのです。貢献すれば給料が上がるという良い面だけを取り入れ、上からの押し付けや 外的な動機付けなど悪い面を排除します。

最近 多くの組織で見るようになったものに、キャリアバンドがあります。
興味深いことなので詳しく説明しましょう。

無関係の組織もあります。たとえばモーニング・スターでは毎年、昇給について特別なプロセスを使っています。キャリアバンドのような等級制度はありませんが、それでうまくいっています。
いっぽうバンドを取り入れてうまくいっている組織もあります。

ある組織の例を紹介します。“バンド制度”を導入しているEncode.orgです。正確性に欠けるかもしれませんが、多くのレベルがあるのを覚えています。
1つ目のレベルは自分の仕事をこなせる人です。きちんと自分の責任を果たすこと。それが1つ目のバンド(枠)です。

その上のバンドは何と呼んでいたか忘れましたが、自分の仕事をこなすだけでなくその仕事の可能性を広げ、向上させる方法を率先して考え、変革などの新しい提案が進んでできる人が就きます。それが2つ目のバンドです。

その次は、自分の領域だけでなく組織全体を考えて、行動できる人が就きます。マーケティング担当が他の領域のニーズに気づいたら、助言プロセスを使って議論が生まれるようにします。
周りを巻き込めるということは、実力を認められた人であるはずです。そういう点で1つ上のレベルになります。

4つ目のレベルにある人は、組織全体のどういう部分を改善していけるか考えるだけではありません。組織のあるべき未来の姿を感じ取れる人です。
組織内でソースの役割を担うとともに、長期的な視野を持って感じ取るのです。それが4つ目のレベルです。

どんな方法でも構いませんが、多くの組織で有効だったのはこうしてカテゴリーを定義し、次のレベルに達した人を讃えることです。ピアプロセスを利用して評価や承認をしたり、助言プロセスを使って“昇進”を決めたりするのです。
この方法のいい点は、シンプルな形だということです。現実を認め、それにリンクして給料が上がる。

しかしカテゴリーが進んでも、前のカテゴリにある人への権限は持ちません。人への強制力は持たず、皆と同じルールや助言プロセスに従う。
シンプルに、より高い能力があることが認められるだけです。

最後の方法を紹介します。
自主経営組織の多くでは、場合によって外部向けの肩書を使っています。

多くの自主経営組織では、内部に細かい役割はあれど肩書がなく、外の世界で自分をうまく説明できない場合があり、セールス担当のバイスプレジデントやシニアバイスプレジデントなどの肩書を聞かれたりします。

そのため多くの組織では遊び心も含めて、仕事内容にふさわしい肩書きをつけた名刺を作っています。助言プロセスを使うか、皆を信頼して逸脱のない範囲で作ります。
それは自尊心を守る方法でもあります。

同様に、メンバーの誰かが人事のような役割を引き受ける組織もあります。その人はメンバーにこう伝えます。
“ここが従来型の組織なら、これがあなたの肩書になるはずだ”

これはメンバーが将来転職する際にも使えるかもしれません。
”従来の階層型組織に戻るなら、あなたはこの分野のシニアバイスプレジデントだ”
と伝えるのです。そうすれば義理の兄弟に会っても言うことができます。
“僕はシニアバイスプレジデントなんだ”
組織内部ではその肩書が意味を持たないとしてもです。

ぜひ現実を受け止めましょう。
少なくとも、しばらくは階層的な承認が必要な人がいます。

私の経験によると、おそらく1~4年経つとそうした承認の必要がなくなって、素晴らしい組織で充実して働けることとメンバーとの深い関係性に満足するでしょう。
昔の組織のような形のキャリアアップに戻りたくない。義理の兄弟に肩書を自慢するなんて意味がないと思うはずです。

そうした承認のニーズがあるのは数年のことです。でもニーズがある限り、認めて対処しましょう。

RELATED TAGタグで調べる

RELATED KEYWORDキーワードを詳しくみる

Others

その他お知らせ