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4-4.Self-management: typical issues

4-4-10 CEOの継承(”CEO” succession)

CEOの継承をどうすればいいかと、複数の組織に聞かれたことがあります。これはパラドックスの核心を突く、興味深いトピックです。
つまり自主経営組織において、いわゆる“CEO”はその重要性が従来型の組織より高いとも低いとも言えます。

このパラドックスを理解する唯一の方法はCEOという箱として考えず、細かな役割に着目することです。他の人でなくCEOが担っていた特定の役割です。皆が“CEO”だとみなしている人の役割に目を向けましょう。

CEOの役割については1-10の動画で紹介しています。CEOという役職の箱には、数多くの役割が入っています。その1つが組織内外の顔になることですが、私には、あまり興味のない世界です。
CEOの継承は特に2つの役割について考える必要があると思います。

1つはソース(源)としての役割です。
“ソース(源)”が何であるか、ピンとこない人は1-10の動画を見てください。

もう1つの役割は 自主経営という新しい考え方に合った空間を保持し、従来の階層的・機械的パラダイムに戻らないようにすることです。

重要なのは CEOのさまざまな役割の継承であり、なかでもソースと空間の保持(ホールド)が重要です。この2つの役割は別個のものであり、1人が2つを一緒に引き継ぐ必要はありません。2人以上で分担してもいいのです。

そうやって役割を特定したとして、どうすればその役割の後継者を見つけられるでしょう。
実は、たいていの継承は自然に起こります。

自主経営組織では自然発生的な階層が多くできます。そのためソース役の後継者には誰がふさわしいか、あるいは誰が空間の保持役に適任か、自然と明らかになります。

継承プロセスは基本的にシンプルで、役割を担っていた前任者が助言プロセスを使い、後継者を決めます。ソースを譲る場合、候補者を考えて助言プロセスをとり、皆の意見を確認してから、候補者本人に継承を提案するのです。実にシンプルです。
一般に助言プロセスで継承がうまくいけば、他のメンバーたちも納得するでしょう。自然発生的な階層にいると、適任者が分かるからです。

それらの重要な役割について、チームで決定したい場合はソシオクラティック選挙を検討することをお勧めします。立候補のいない選挙です。ネット検索すればやり方が見つかるはずです。

素晴らしいプロセスで、その役割に望むものや資質などを皆で何度も出し合います。そして各自の心に浮かんだ適任者を1人書き出してもらい、さらに皆で検討し決定します。
立候補者はいません。誰も票を獲得しようとせず、皆で深く考えます。その役割には何が必要で、誰が適任か徹底的に話し合うのです。
集合知を利用することで、適任者が選ばれます。

ソシオクラティック選挙を機能させるには、候補者になりそうな人たちをメンバーが知っていることが必要です。
たとえば、大きな組織であれば社歴の長い人々が誰が有望な候補者か、よく知っているでしょう。しかし、全員に候補者を尋ねるという考えには注意が必要です。海外赴任していて内部の人を知らなければ、候補者について意見を出すのは難しいでしょう。
その場合は現実を受け入れて、こちらからその人たちに候補者の選択肢を提示しましょう。

プロセスの最初は多くの人に意見を聞くのです。誰が適任かではなく、求められる資質を探っていきましょう。そうすれば、あらゆる人の話を聞く意味もあるはずです。

私が絶対にお勧めしないのは、全社で選挙を行うことです。

うまく機能している組織もあります。パタゴニアも行っていたはずです。
しかし選挙をするとなれば、立候補者が現れて選挙キャンペーンを始めます。すると、応援する候補者の勝ち負けという対立軸が生まれ、当選者への愛を感じなくなります。
つまり民主主義選挙の醜い面が全部出てくるため、絶対に避けたい方法です。

どんな方法であれ、CEOの役割の後継者を選んだら、ソースや空間の保持という重要な役割の場合、公式な儀式として継承を行うことが大切です。

ソースという概念を考案したピーター・カーニックが言うように、何よりも重要なことは、去っていくソース役がその役割を後継者に引き継ぐことです。
だから公式な儀式にするのが重要です。その役割を務めてきた人に感謝し、後任者を歓迎します。

最後に、外部の候補者について話しましょう。組織によっては、特定の役割を務められる人が誰もいないように思えることがあります。
そんなときは、“外部から人を迎えよう”とか“役割を深く理解している適任者を迎えよう”となります。

フロリダにあるサン・ハイドローリックスもそうです。創業者のロバート・コスキーの後、継承が3~4回 行われました。彼らがとった手法は重要です。
“CEO”という肩書きで採用しなかったのです。代わりに、やがてCEOの役割を担えるであろう人を採りました。

皆と同様に肩書きをつけずに採用し、“自分の知見を活用し貢献する方法を見つけてほしい”と言うのです。自然発生的な階層では皆が人の仕事ぶりを見られるので、
“あの人の仕事ぶりを見たよ”
“採用してよかった。立派に役割を担うはず”
と分かります。やがて現任者が去るとき、自然にその人が後任に選ばれるでしょう。

CEOの継承については以上です。“CEO”の後継者ではなく個別の役割について話し合い、その役割をこなせる自然な候補者を見つけてください。想像より、ずっと簡単なはずです。
従来のCEOの役割を埋める後継者は、自然かつ明白な形で見つかるでしょう。

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