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4-4.Self-management: typical issues

4-4-6 承認とメンタリングが欲しい!(We need recognition! And mentoring!)

今回も複数の組織で耳にした問題です。これは自主経営に移行後すぐに現れるのではなく。1年以上後に現れるやや特殊なケースです。突然皆が言い始めるそうです。
“私たちは認められたい。評価してほしい”
興味深い問題です。

自主経営においては、承認欲求が忘れられがちです。

組織から認められたと分かる明確な形は、階層を上がっていくことです。
“よくやった。月間最優秀社員に選ばれたぞ”
と上司に言われて、特別ボーナスをもらう。従来型組織の経営メカニズムは、その多くがインセンティブを使ってメンバーを承認してきました。そうすることでやる気にさせるのです。

自主経営に移行するとたいてい、こうした外的動機づけが排除されます。人は外的な動機ではなく内なる動機と結びつくのです。
しかし依然として、外部の承認を求める人もいるのでそれは受け入れるべきです。もう少し広い枠組みで言うならば、競争と協調の双方を受け入れるべきでしょう。

現在、ほとんどの組織は超競争主義であり、あまり協調的ではありません。そして自主経営に移行すると自然な傾向として、競争を排除し、協調を重視するようになります。

それは素晴らしいことですが、私たちは競争にも健全な一面があることを忘れがちです。人間は多くの協力と少しの競争を求めるものだと思います。

先日、チャールズ・アイゼンシュタインが競争について素晴らしい話をしていました。
人間の世界において競争の適切な役割は、天賦の才能を発見し、磨くことだと言うのです。
自分を周りの人たちと比べることは、自分の得意なことや才能を発見する方法の1つです。そのため組織においても競う場を尊重すれば、承認などを通して才能が見つかります。

では、どうすれば健全な承認の機会を組み込みつつ、従来の負の側面を取り除けるでしょう?

まずは承認から、金銭を排除することです。
人はお金より注目や称賛が欲しいものです。
金銭はいい承認方法ではありません。なぜなら金銭は個人的な重荷になって恐れや不安感を募らせ、人を強欲にするので、巻き込まれたくありません。

著書ではシンプルな方法で成功した組織の例を紹介しています。
ある組織では、ミーティングの冒頭で各人が他のメンバーやチームへの承認と感謝の言葉を述べます。ミーティングの一部として毎回実施すれば、自分も認められる機会があることでしょう。
多くの人が欲しいのは金銭ではなく真の承認なのです。

別の組織では毎週金曜の午後に一斉メールを送ることにしています。誰かの素晴らしい貢献に感謝するメールを送ります。誰かがメールを送ると他の人々がメールで反応します。

ドイツの病院グループ、ハイリゲンフェルトにはCEOが持っていた古いジャガーがありました。素晴らしい仕事をしたと他の従業員から推薦された人が、1週間乗ることができます。楽しくて皆、気に入っていました。
またアメリカの産業機器メーカー、バリー・ウェーミラー社も同じことをしています。

理想的な承認の形は、ストーリー性豊かな承認です。
誰かが誰かに感謝する物語を知ると、心が満たされます。

とはいえ、私たちが求める承認のポイントは強欲さや欠乏感を生まないことであり、自分が推薦されなくても腹を立てないこと。つまり承認の悪い点を取り除き、良い点を多く取り入れることです。
そのためには、シンプルにミーティングやメールや、1週間の車の使用が効果的です。

承認に似た話ですが、複数の組織の人たちに上の人に相談するなどのメンタリングが欲しいと言われました。
“昔の階層型の組織では定期的にマネジャーや上の人と話す機会があったけど、今はない”
“私は上の人と話すのが好きなんだ。正しい方向に進んでいるか助言をもらえるから”

それを取り入れない理由はありません。多くの自主経営組織で実践されているのは、シンプルなメンタリング・システムです。
各自が自分のメンターを選び、その人と月に1度ミーティングを持っています。それにより下の人も上の人と交流でき、上位者の視野や経験が力になります。

逆の話もあります。上級管理職の人たちから聞いた話では、昔は下の人に仕事の指摘ができたが、今はできないと感じるそうです。ある組織のトップの女性と話した時に彼女が言いました。
“マーケティング担当者が優先順位の設定を間違えている。でも伝え方が分からない”
“上司だった時はその人のところへ行って率直に話せばよかったけど、今はできない感じがする”
“間違いに気づいているのに、何も言えなくて歯がゆい”

このように上位者が自己検閲する話を私は何度か耳にしました。でも、その必要はありません。上の人たちも周りの人と同様に誰とでもオープンに話せます。

マーケティング担当は自分の見地で優先順位を決めています。だからその人のもとに行って
“あなたの優先順位を見たけれど、私の意見と違うようなので話せない?”
と言えばいい。そして、これは同僚同士の話し合いであり、上司の強制ではないことを明確にします。
助言プロセスに則り、同僚として話すのです。

あまり好きではない例えですが、マネジメントと子育てには類似点があります。親と子供の関係が上司と部下の関係に似ているからです。役立つと思うので紹介します。
子育てに似ているのは、親が子に命令し従わせるやり方がある一方で、自由放任にする寛容なやり方もある点です。

自主経営も同じです。命令に従わせるか放任するかの一択は、育児でもマネジメントでも間違いです。

私も含めて多くが目指す子育ては、相互関係的なものです。子供に
“君の要求は分かったこちらの要求も聞いてくれ”
と言い、互いの要求が折り合うよう話し合っていくのです。
組織も同じで、あなたが上位者なら下の人に会いに行き、考えを話す権利があります。昔のような押しつけができないだけです。

まとめると次のようになります。承認やメンタリングや上と下の人の話し合いは、自主経営でも可能です。とてもシンプルな方法で実践することができます。

自主経営においても、競争と承認には役割があるからです。
それは、いい仕事をしたいという内なる動機とも共存するものです。

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