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4-2.Self-management: getting started
4-2-9 階層型組織における自主経営チーム(Self-managing teams within a hierarchical organization)
組織によっては、現場レベルだけに自主経営を導入している場合もあります。たとえば工場の運営だけを自主経営チームに任せるのです。しかし組織全体としては準備が整わず階層型になっている。混合型と言えます。あなたの組織もそうかもしれません。
もちろん組織全体で移行するのが私の好みではあります。でも現場だけに自主経営を導入することにもしかるべき理由があるものです。
混合型ではちょっと変わった問いが生まれます。
自主経営チームは一部で導入したものの、マネジャーという役職も残っている。この状態でどう機能する?
それをお話ししたいと思います。
問いはこうです。
どうしたらチームが自律して動くようになるか?
仕事への当事者意識をいかにして育てるか?
マネジャーにチームの自律性を妨害させない方法は?
チームに当事者意識を持たせるにはどうすればいいか?
私の考えをいくつかお話ししましょう。まずは次の問いからです。
“マネジャー抜きでチームにできることは何か?そしてマネジャーに権限を残すべきことは何か?”
これは率直に話し合いましょう。ミシュランではこんな言葉を使っています。“Domaineréservé”、つまり“侵されざるべき領域”です。マネジャーは特定の業務だけに権限を持ち、他はすべてチームに任せるのです。
彼らのやり方は次のようなものです。チームが自主経営に移行する際、マネジャーは単独で、もしくはコーチとじっくり考えるのです。
“今後も自分が舵を取りたいものは何か?“
それ以外はチームに任せます。
同じことをチームにも考えてもらいます。
“何を任せてほしいか?”
“マネジャーにどこを頼りたいか?”
そして互いの意見を検証するのです。とても有意義な話し合いになります。
すると境界線がある程度はっきりします。
“この範囲では自律が認められている”
“ここから先は承認が必要でマネジャーに決定権がある”
これが最初の興味深い問いです。
2つ目の問いは、“チームへの干渉が大幅に減ったとしてマネジャーにできる有意義で素晴らしい貢献は何か?”
つまりマネジャーは何をする?チームへの介入以外にどんな仕事があるでしょう。アイデアは2つあります。
1つは彼らの管理責任の範囲を広げること。ミシュランがいい例です。
たとえば1チームにつき1人いるマネジャーを、2~10チームにつき1人にするのです。あるいは工場が3交代のシフト制の場合、マネジャーに1シフトだけ任せて、残り2つをマネジャー抜きで回させます。
そうなるとマネジャーは、すべてを管理することができなくなります。コントロールを手放し、チームを信頼しないといけません。
2つ目のアイデアはこうです。マネジャーに有意義で存在目的に沿った別の仕事を託すのです。イノベーションや事業開発などいろいろあります。
ただしサポート業務は避けましょう。ぱっと思いつきませんが、人事や財務に関わるプロジェクトです。そういう業務だと再びチームに圧を与えかねず、意味がありません。
目的はチームを解放することです。外圧をかけることは避けましょう。
3つ目の興味深い問いはこれです。
“いかにして心理的オーナーシップをマネジャーからチームに引き継ぐか?”
以前はマネジャーだけが責任を負い、結果が悪ければ介入しました。ではチームが責任感を持つにはどうするか?この件は自己修正の動画でたくさん語っているので、そちらをご覧ください。
でも間違いなく有効なのは、仕事の結果をチームが肌で知ることです。仕事に対する誇りや痛みを味わってもらうのです。
どういうことかと言えば、チームはマネジャーという盾を失います。
顧客と直接やり取りする方法を考えねばなりません。あるいは組織内の顧客とです。マネジャーだけ顧客と接しチームに指示するのではありません。それは楽しみなことです。
それでは4つ目の問いです。
“マネジャーとチームメンバーは新しい役割へとどう成長できるか?”
新たな能力や振る舞いをどう身につけるかです。
元マネジャーには良いトレーニングになるでしょう。
“前は1チームをリードしていた。今は5チームを担当している。だから行動を変えなくては”
きっと有意義なトレーニングとなるでしょう。
あるいはマネジャー同士で話してもらいましょう。大きなミーティングを開いて、元マネジャー全員で学び語り合ってもらうのです。テーマは、新生マネジャーになる喜びと痛みです。役割はチームのサポートのみで、従来の強権ではありません。
学ぶのはチームも同じです。仕事への責任感を持って結果を引き受けるにあたり、疑問やニーズが出てくるでしょう。
たとえば新しいコミュニケーション法や、責任を持ってフィードバックし合うなどが必要になります。マネジャーのときと同じようにチームにもトレーニングが必要になるのです。責任感を学んでいきましょう。
実践している組織は現実にあります。階層制組織内で自主経営チームを持つことは、問題なくできます。この動画を参考にして関係を明確にしていきましょう。
自主経営チームは責任感を持って自律的に動き、マネジャーは引き続き一定の権限を持ちながらチームには介入しません。
4-2.Self-management: getting started
4-2.自主経営をはじめましょう
- 4-2-1 どこまでを目指す?(How far will you go?)
- 4-2-2 “自主経営”という言葉を使う?(Use the term “self-management”?)
- 4-2-3 仕事が減る不安に対処する(Addressing the fear that there will be less work)
- 4-2-4 心理的オーナーシップがどの程度あるか?(What’s the level of psychological ownership?)
- 4-2-5 旅の前に目的とビジョンを明確にすべき?(Clarify the purpose and vision before you start?)
- 4-2-6 階層のどこから始めるか(At what level of the pyramid do we start?)
- 4-2-7 よくある落とし穴“とにかくやれ”(A common pitfall: “Just do it”!”)
- 4-2-8 自主経営チームを立ち上げる(Launching self-managing teams)
- 4-2-9 階層型組織における自主経営チーム(Self-managing teams within a hierarchical organization)
- 4-2-10 経営チームはどうなる?(What to do with the executive committee?)
- 4-2-11 サポート機能はどうなる?(What to do with support functions?)
- 4-2-12 新しい慣行の公式化(Formalizing new practices)
- 4-2-13 組織構造を可視化する(Making the new structure visible)
- 4-2-14 移行の儀式(Rituals for the transition)
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