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4-2.Self-management: getting started

4-2-3 仕事が減る不安に対処する(Addressing the fear that there will be less work)

自主経営を導入した途端、よく起きることがあります。従来の階層型組織ではいかに無駄な仕事が多かったかが、突如明らかになるのです。
やたらと長い会議が無数にあるのは、しっかりやっていると全員が安心したいだけです。エクセルやパワポで無駄な文書を作るのは、単に情報を上下に行き来させるのが目的でした。
統制の仕組みが機能しているわけですが、そういった行動は組織内で自分を良く見せるためのものです。

ゲイリー・ハメルいわく仕事の種類は2つで、本当の仕事と、人目を意識した上辺だけの仕事です。
そういう仕事は一気に滅びるでしょう。そして突如自由な時間が持てるようになります。その貴重な自由な時間は無駄な仕事でなく、存在目的に注ぎましょう。

ですが、この自由時間を余分な時間だとみなす人もいます。何も生産しない人間に給料を出すのか、と言うのです。こうした自由時間は管理職や経営陣だった人に生まれる傾向にあります。あるいはスタッフ機能の人たちです。
ここで問題となるのが仕事が減った人たちをどうするかです。単に排除するか、解雇するか、あるいは配置転換か。そうした対応は従来型の考え方です。人を組織図の中のコマとして見てしまっています。

基本的に2つの対応が考えられるでしょう。
しかし例外的なケースも稀にあります。それは、あなたの組織が赤字続きで存続が危うい場合です。それなら社員にこう訴えるのも無理はありません。
“全員を残すのは難しい”
“大至急出費を減らす必要がある”
退職を求めても致し方なしです。

自主経営の観点に立てば、従業員に適切な枠組みを形、提示しようと考えるでしょう。
希望退職。希望者は一定数いるはずです。自主経営が性格的に合わないか、人生の重点が別にある人です。ある意味好機かもしれません。できるだけ寛大な方法で快く退職者を送り出しましょう。

でも多くの場合、あなたにできるのは解放された才能や余った時間を、存在目的をかなえるためのプロジェクトに活用することです。
新しい構想に着手するのです。

大半の組織では、未着手の仕事が無数にあります。達成すべき目的があるのに、エネルギー・人員・時間が慢性的に不足してるからです。この機に従業員に呼びかけるのです。
“この会社で自分の新たな役割を見つけてください”
“自分が楽しめて組織にとって価値ある仕事を”

今後の処遇を、最初に明確に説明するのは大切です。それが従業員の安心につながります。いきなり自主経営の話をされると、彼らは失業を心配して組織全体に不穏な空気が漂うでしょう。そしてこんな考えが噴出します。
“何としても自分の立場を守らねば”
彼らは身勝手な行動に走ります。
“邪魔するな。ここが私の新しい場所だ”と。

でも先に説明しておけば違います。
“何も心配することはありません”
“組織は十分安泰です”
“自分を高められる方法をゆっくり探してください”
従業員は心に余裕を持って周囲に目を向け、新しい役割を見つけて働くようになるでしょう。

実際、多くの組織でいい変化が起きています。
社員が独自の役割を果たすようになるのです。かつては想像もしなかった役割です。強い連帯感も生まれるようです。
“興味があれば私の仕事をやってみて。私は別の仕事を覚えてみるから”と。

ある素晴らしい事例を紹介しましょう。
その変革は数年前に始まりました。場所はベルギー運輸局です。最初にこんなことがありました。彼らは自主経営チームを導入して週に1~2日在宅で働き始めたのです。その変化を多くの人が歓迎しました。
“交通渋滞にわずらわされず家で働ける”
と。でもそうでない人たちもいたのです。彼らの業務は市民への対応、いわゆる受付です。
“待ってよ、不公平だ。こっちは在宅で働きたくても受付を離れられない。市民への対応があるから”

すると、思いがけない展開がありました。在宅勤務の職員がこう提案したのです。
“いいことを思いついた。週に1~2日仕事を交換したらどうか。自宅での書類作業と受付の業務を”
そこで週に1~2日仕事を交換するようになりました。人事から提案されたのではなく、職員の連帯感から生まれたものです。週5日受付をしていた人たちは、週2日ほど在宅で働くようになりました。

さらに意外なことが起こります。運輸省の清掃員の人たちがこう言ったのです。
“自分たちも家で働けるならそうしたい。でも自宅を掃除したって給料なんか出ませんよね”
そこで仲間たちは知恵を絞りました。彼らが在宅でできる仕事を見つけたのです。ずばりコールセンター業務です。そこで清掃員はオペレーターの訓練を受けました。在宅勤務用のソフトウェアも開発されました。
まさに劇的な変化です。清掃員の出勤日数は週3~4になり、残りは在宅で電話応対をしています。

これは数年前、ローレン・レドゥがベルギー運輸省を改革した時の話です。
彼が重視したのは安心感のあるメカニズム、連帯感を生み出すメカニズムです。自分の仕事が守られていると安心できれば、心を開けるようになるからです。運輸省の決断は実に痛快でした。
それまでオフィスは広さが4万平方メートルでしたが、在宅勤務が増えたので改修して、面積を半分に縮小しました。当然清掃員の需要が減るわけですが、人員削減をしない決断を下したのです。その代わり、先ほど話したように新たな働き方を考え出しました。

何度も言いますが、大事なのは、安心感と連帯感そして職種に捉われずに人を見ることです。
事務員、受付係、清掃員。彼らは皆組織の存在目的に役立つ新たな仕事を生み出す可能性を秘めています。人事的な観点からでは思いつかない仕事です。

そのような環境を実現するには、自分も含めみんなに明確にしておくことです。
管理から解放された後どうなるか?
いずれ失業する恐れがあるのか。
それとも、心配無用でもっと面白くやりがいのある仕事に挑戦できるのか、と。

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