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4-2.Self-management: getting started
4-2-8 自主経営チームを立ち上げる(Launching self-managing teams)
まず前回のおさらいです。自主経営チームの準備ができたとき、メンバーにはサポートが必要です。それが自主経営の定着につながります。極端なやり方はいけません。メンバーに丸投げするのも、実施計画に従わせようとするのも、仕事に対する当事者意識をそぐ結果になります。
またサポートには4種類あるとお伝えしました。今回はそれを解説しましょう。
多くのチームに必要な1つめのサポートは、適切な会話の道筋をつけることです。
具体的にはチームのミーティングを開き、話し合うべきテーマを与えて自主経営チームへと成長を促すのです。
これを自分たちの力でできるチームもあるでしょう。彼らは自発的にミーティングを開き、次々と課題を見つけ話し合うことができます。でも大半のチームにとっては場を設けることが助けになります。
“このテーマについて話し合ってください“
“自主経営を始めるに当たり重要なことです“と。
テーマ例を紹介します。いずれも早い段階からチームで議論すべき内容だと思います。
まずは、“チームで何を達成したいか?”。
自分たちで定義すれば、仕事への誇りも生まれます。健全な状態で結果を出せば、管理能力を証明することにもつながります。
仕事の達成基準もチームで決めます。1日に処理するファイルの数、または品質や量など。何でもかまいませんが決めるのは本人たちです。
自分たちの実績を何で証明するか?外部の人間に自分たちの仕事ぶりを何をもってアピールするか。自己修正システムに関する動画を見た人なら、チームで達成基準を決めることがいかに重要かご存じでしょう。
もう1つ話し合うべきテーマは、“チームのリソース”です。自主経営チームになるためにどんなリソースが必要か。
すべて足りていれば問題ありませんが、もっとデータや情報が欲しいチームもあるでしょう。マネジャー以上に状況を把握するには、日ベースや週ベースのデータや情報が必要かもしれません。となると、IT関係のサポートが今必要なリソースと言えます。
また別のチームには人材が足りないのかもしれません。目指すは何から何まで自分たちでこなせるチームです。
“うちが欲しいのは調達担当だ”
“人事担当者を迎え入れたい”
そうやって自分たちで決めるのです。
もう1つ話し合うべきテーマが、“運用ルールをどうするか”です。
以前別の動画で話しましたが、自主経営において重要なプロセスは5つ。定番のものがありましたよね。
どうやってチームで決定を下すか?
それは誰の役割か?
対立への対処法は?
情報の透明性をどう確保するか?
勤務評価の方法は?
チームや個人が基準に満たない時の対処です。こういうチーム内のルールを決める必要があります。自分たちで働き方を決めるのです。
例えばこんなふうにチームに呼びかけましょう。
“これらのことを話し合って決めるといいでしょう”
“大事なことだから考える時間が必要です。3か月後に改めて話し合いましょう”
そして3か月間後にミーティングを招集するのです。これなら焦って答えを出さずに済みます。3か月かけて運営ルールを詰めればいいのです。変更や改善も可能です。
2つめのサポートはファシリテーションです。
これを必要とするチームは一定数あります。
会話を促すプロを同席させましょう。組織内の人でもかまいませんが、原則チームメンバー以外の人です。現実的な会話を保ちつつ、生産的な議論の場を作ってもらいましょう。小さな声の人に対して明瞭に話させるのも大事です。
私の場合、最初のうちはあえて過剰なくらいファシリテーションを行います。ファシリテーターのさまざまな振る舞いがチームの手本となって後に彼らの役に立つからです。
3つめのサポートは専門知識です。
意思決定の方法は?
同意に基づく決定を下すべきか?
これは他の自主経営の組織を参考にして、助言プロセスなどを学んでもらいましょう。なぜなら新たな仕組みを作るのは手間だからです。
もちろん助言プロセスを押しつける気はありませんが、存在を知っていれば便利です。チームに必要な専門知識を投入することは、とても意義深く重要なことです。
いろんなやり方が考えられます。
資料を読んでもらったり、外部のコーチやファシリテーターを招く。あるいは同じ組織の中から、何らかのプロをミーティングに呼ぶのもいいでしょう。
チームに提供できる4つめのサポートは研修です。
自主経営を学ぶ過程で多くの人が何らかのスキルを習得したくなります。
聞くスキル、自己を肯定するスキル、フィードバックを与えるスキル、対立が起きた時に場を収めるスキル。
私の経験から言えば、それらの研修は必要に応じて受けさせればいいと思います。日頃から経営陣に研修を行う組織もありますが、非常に漠然としています。いつか自主経営を実践する際、役立つからといって今からやる必要があるでしょうか?
対立が起きたらその時に研修を行えばよいのです。
繰り返しになりますが、サポートには4種類あります。それらをすべてのチームが適宜利用できるようにしましょう。
もう1つ興味深い問いがあります。どのチームから始めさせるか?
私が最も惹かれる方法は、チームのやる気を引き出す状況を作ることです。
きっかけだけ与えて手を上げるチームを待つのです。
これについて実に気の利いた方法をベルギー運輸省から学びました。彼らは賢くニンジンをぶらさげて自主経営の導入に成功しました。
“もし自分で自分を管理したければ週1~2日在宅勤務にしてはどうか?それなら職場に来なくて済むから渋滞から解放され時間にも融通が利く”
つまり自主経営ですね。本人が労働時間を管理するので、出退勤をチェックしなくてよくなります。こうなるためには自主経営を導入しないといけません。その際やるべきことは自分たちで目標を決めることです。いかにして仕事の成果を外部に見せるか?
これはとても面白い問題です。
どんなニンジンでチームの意欲を引き出しますか?
4-2.Self-management: getting started
4-2.自主経営をはじめましょう
- 4-2-1 どこまでを目指す?(How far will you go?)
- 4-2-2 “自主経営”という言葉を使う?(Use the term “self-management”?)
- 4-2-3 仕事が減る不安に対処する(Addressing the fear that there will be less work)
- 4-2-4 心理的オーナーシップがどの程度あるか?(What’s the level of psychological ownership?)
- 4-2-5 旅の前に目的とビジョンを明確にすべき?(Clarify the purpose and vision before you start?)
- 4-2-6 階層のどこから始めるか(At what level of the pyramid do we start?)
- 4-2-7 よくある落とし穴“とにかくやれ”(A common pitfall: “Just do it”!”)
- 4-2-8 自主経営チームを立ち上げる(Launching self-managing teams)
- 4-2-9 階層型組織における自主経営チーム(Self-managing teams within a hierarchical organization)
- 4-2-10 経営チームはどうなる?(What to do with the executive committee?)
- 4-2-11 サポート機能はどうなる?(What to do with support functions?)
- 4-2-12 新しい慣行の公式化(Formalizing new practices)
- 4-2-13 組織構造を可視化する(Making the new structure visible)
- 4-2-14 移行の儀式(Rituals for the transition)
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