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4-2.Self-management: getting started

4-2-5 旅の前に目的とビジョンを明確にすべき?(Clarify the purpose and vision before you start?)

もしかしたら自主経営を実践する前に、組織の存在目的とビジョンを明確にすべきかもしれません。

従来型のシステムにおいては、階層の上位にいるマネジャーたちが権力を駆使して、すべてを把握し統制しようとしていました。あらゆる意思決定の足並みを合わせ、組織が一丸となって目標に向かうためです。

でも自主経営では、あらゆる調整が自発的かつ有機的に起こります。なぜなら全員が組織の存在目的を知っていて、数年先のビジョンも知っているからです。存在目的や目標やビジョンが共有されると、有機的かつ自発的に調整が行われるのです。
つまり従業員が存在目的とビジョンを共有していなければ、自主経営を実践することはできません。

ではここで質問です。
あなたの組織やチームは存在目的とビジョンを明確に理解していますか?

おそらく“ノー”と答える人が大半でしょう。例外もあるでしょうが。マネジャーが調整役の組織では、マネジャー以外が存在目的を理解してないのが実情です。
その場合は本格的に自主経営を実践する前に、準備段階を設けるのがいいでしょう。みんなで意見を交換して存在目的とビジョンを明確にするのです。

これは組織全体において、2段階で行います。この点については存在目的の章で改めて動画をつくり、存在目的とビジョンを定義する方法を解説します。

自主経営型の組織では大人数で定義を決めますが、従来型の組織では一部の人間だけで決めていました。
ぜひ、組織全体でやることをお勧めします。場合によってはチームごとにやるのも有効です。組織の目的を念頭に置いてチームの目的を決めたり、数年先のビジョンを見据えて自分たちのチームの方向性を決めたりするのです。

この動画では、これ以上定義の仕方を説明するつもりはありません。世の中には私よりも、存在目的とビジョンを定義するスキルを持っている人が大勢いるからです。
私は言葉の定義にはこだわりません。なかには言葉の定義にこだわって、ミッションとビジョンと存在目的は違うと語る人もいます。

ただ1点だけ強調したいことがあります。これだけは絶対に避けてください。
高尚すぎるたわごとの企業理念です。
大抵が実現不可能だからです。

たとえば、企業理念や存在目的が“繁栄する社会の創造”だったとします。繁栄する社会の創造…その理念は判断基準に使えません。もっと実行可能で実用的なものを考えましょう。トレードオフが必要な場面で役に立つものです。
私が重視する基準はそこです。その存在目的やビジョンは、トレードオフの判断にあたって目安になるでしょうか?

私から1つお勧めの方法があります。
ホラクラシーワンのように対立項を考えてみるのです。
これはトレードオフの判断にあたって、とても役に立つ方法です。予測し得る将来に対して、普段自分たちはどちらを選ぶ傾向にあるか考えるのです。

たとえば。イノベーションより標準化を好むとします。
“イノベーションに注力してきたから今は標準化に励もう”
イノベーションが嫌なのではなく基本的には標準化を好むだけです。その逆もあります。
“標準化は十分に進んだから今度はさらなるイノベーションに乗り出すべきだ”
この場合は標準化よりイノベーションを優先するわけです。あくまでトレードオフの判断が必要な際の目安です。

たとえば、新規客より既存の顧客を優先し既存客にサービスを提供する。あるいは携帯よりパソコンのアプリへの投資を優先する。いろいろあります。ただし大事なのは、現実を見て判断することです。くれぐれもティールの観点を毎回の基準にしないでください。
“常に標準化よりイノベーションを選ぶべき”
そんなことはありません。

私と妻があるグループに参加したとき、私たちはある時点で悟りました。
“このグループは例外を作るよりルールに従う方がうまくいく”
私たちは正当な理由から、多くのルールを曲げていました。でもそれに膨大な時間が費やされてしまい、メンバーたちも混乱してしまいました。だからルールに従うべきだと感じたのです。その判断はティールの観点からも同意できるものです。
このように対立項を考えてみることは、数年先のビジョンや存在目的を明確にするのに役立ちます。

最後に質問を繰り返しておきます。
組織全体やチームごとの存在目的とビジョンは、自主経営へ移行できるくらい明確になっていますか?
それとも準備段階が必要ですか?

明確になれば、メンバーは自発的に調整しマネジャーによる統制が不要になります。

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