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3-10 目に見える最初の行動(Visible first actions)

よく変革の手始めに、象徴的で大きな策の導入が検討されます。私は“象徴的”という考え方が好きではありません。象徴的な改革案より考えるべきは、心から進んで実行したい案やシステム上必要な案です。“どこから始めるべきか”の動画で話しました。改革の始め方に関しては自問してみると良いでしょう。組織に影響を与える大きな行動から始める?それとも小さなステップから?大きく始めることもできます。たとえば財務の透明化やそれに向けた社員教育などは大きな行動です。

しかし組織の準備が整っていない場合、まだ信頼が築けていないので、大きな改革で急な変化を加えるよりも複数の小さな物事から始めればいい。やがて人が変化し文化も変わります。組織が柔軟になっていき、新しい空気が入ることで大きな変化の準備ができる。小さな始め方については、興味深い例をいくつか知っているので紹介します。

まずはベルギーの運輸省で実践された例です。パワフルなロラン・ルドゥ氏が数々の変革を行いました。彼は“プティ・カイユ”という委員会を作りました。広く提唱されていた案のひとつで“解放された会社”の慣習とされています。“プティ・カイユ委員会”とは“小石委員会”という意味です。イメージはこうです。働いている人は誰も小石の入った靴で歩いている。しばらくは歩けますが、もっと長く歩く必要がある時は足がすごく痛くなる。どの仕事にも小石があるのに取り除くすべがない。プリンターが遠すぎて不便だとか、適したソフトウェアが入ってないとか、何かを話し合う環境が整ってないとか、そういった物事です。そこでルドゥ氏らは手始めに、運輸省のなかでシニアリーダーとして約束したのです。“小石委員会は常に1週間以内に対応しどんな小石への不満も解決策を検討するか、解決できない理由を説明する” すると組織に活力が生まれました。これまで困っていた物事を改善する回路を得て活力がみなぎるのです。経営陣主導なので助言プロセスとは違いますが、手始めには効果的な案です。似たような案としてすべての会議をオープンにしたそうです。どんな会議も参加可能にした。取締役会であってもです。イスを2つ増やして先着で参加可能にしたのです。機密情報を取り上げる際はしばらく離席を求めるとはいえ基本的にオープンです。それが力強い合図となり姿勢が変わりだしました。いくつかの会議に出るうちに、退屈だと判明した会議には出席しなくなるのです。そのため対照的な案も用意していました。価値がない会議からは退出してよいという案です。むしろそれを積極的に促したことで組織文化が変わっていきました。もちろん“権力の象徴”にも変化を与えられます。たとえば、CEO専用の広いオフィスをやめ別の用途に使ったり、階層的な運営方針を変えることは効果的な変化です。

オランダ出身のベン・カウケンという人物は自主経営について研究する優れた書き手です。彼が紹介した組織には、オランダ語で“Ontregelavond”がありました。ルールや規則を“破壊する夜”です。その夜はリーダーが全員を招待して、あらゆるルールを一緒に点検していき、継続や廃止を検討するのです。大組織では1晩どころか丸2日ほど必要かもしれませんが、とても効果的な合図となり自由を生みます。

私の知っている組織から、ブラジルのセムコの事例を紹介しましょう。そこでは新しいリーダーや上司を任命する際に、ピラミッド型の階層制とはいえ下の層の人たちが上司の仕事内容を決め、経営陣でなく自分たちが面接し未来の上司を決めるのです。組織の構造は変えないまま、組織の文化が変わっていきます。このようにシンプルな方法でも大きな変化につながっていくのです。

別の方法もあります。たとえば本です。ヨーガン・アペロが記したアイデアも素晴らしいしニールス・フレギングの本もあります。こうした本もアイデアの源泉となります。ボーナスでなく“能力箱”を導入して、誰がお金を得るべきか同僚に決めてもらうという案や、たとえば“称賛箱”や“フィードバックの壁”、“ミスの壁”といった案はリスクなく小さなステップで変革の準備ができます。それから大きなステップに進みましょう。

そして別の動画でも語りましたが、序盤はこうした行動を取ると同時に従来の冷たく味気ない言葉遣いを捨て去り、社内の文書や組織の行動原則の書き方も楽しくシンプルで手づくり感のある魅力的なものにしましょう。見せ方を変えるだけでも変革の土壌を育めます。

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