前の動画では、目的地をどう捉えるかについて話しました。この動画ではそれに関連した問いについて話します。“いま歩んでいるこの旅についてどう捉えていますか？”。楽しい冒険の旅ですか？それともよりよい場所に到達するための困難で大変な旅ですか？ここで話したいのは、この旅の客観的事実についてではありません。もちろん奇跡的な瞬間もあればとても困難な瞬間もあります。あなたも周りの人も多くの学び直しが必要になります。アイデンティティを揺さぶられ、自身について問い直したり、喪失感を感じることもあります。それを経て輝かしいより強い自分になるのです。でも今話したいのは、あなたがそれをどう捉えるかという話です。

この問いはわたしにも衝撃的でした。50社ほどの組織で自主経営の導入を成功に導いたコンサルタントたちと話したときのことです。結果は成功したにもかかわらず、彼らのほとんどがとても困難な旅だったと語ったのが印象的でした。“自主経営に付随する責任に対して人々の心構えができていなかった” “教育システムがそれに影響している”だから困難な旅だったと強調しました。一方、この会社の創業者はまったく違う語り方をしました。とても楽しくて素晴らしい旅だったと。彼もまた同じ困難を体験していたはずなのにです。同じ客観的事実をこれほど異なって捉えていることに驚きました。

私が思うにこの違いの理由は、これを困難な旅だと捉える人は最終ゴールを念頭に置いています。常に最終ゴールとの比較で考えるので、旅の途上にあるものでは満足できません。すべてが理想に及ばないのです。常に完璧な形を思い描いています。　“今、自主経営を実現していたい”　“今、人々に心の深いところで関係性を築いてほしい”　一方で創業者は、単純に旅を楽しんでいるようでした。会話の中でコンサルタントの１人が“抵抗者がいて進展が見られない”と言うと、創業者は言いました。“いいね。その人と話してみよう”　“つながるきっかけになるから一度話をしてみよう”すると、旅そのものが楽しい冒険になります。このように２つのまったく異なる捉え方があります。

考えてみてください。“あなたはこの旅をどう捉えますか？” もちろん正しい答えはありませんが、少しだけこの創業者のように考えられるようになるかもしれません。この旅は冒険であり、大変なことにも意味があり、多くの学びがあって楽しいものだと遊び心や好奇心、気軽さをこの旅に持ち込んでください。あなたがこの旅を始めた本当の理由を思い出してください。理想に到達するためではなく、以前のやり方を続けたくないと思ったからではないでしょうか。ですから、比較したいなら以前のやり方と比べてください。完璧な理想と比べないでください。これを一生の冒険だと考えてください。目的地ばかり見ないで、途中の一瞬一瞬を楽しんでください。