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5.Striving for wholeness
5-2 全体性を阻む文化の壁(Cultural barriers to wholeness)
前回の動画では全体性の意味を自分なりに定義してもらいました。今回考えてもらいたいのはあなたの組織が持っている文化についてです。それがいかに全体性を阻んでいるでしょう?
それから広く社会における文化についても考えます。想定される障壁を知るのはとても大切です。
まずは組織文化から考えましょう。
当然ながら組織ごとに独自の文化を持っています。その文化は特定の行動や振る舞いを容認して褒め称え、別の行動や振る舞いは容認せず非難します。
最近エンジニアリング組織と1日を過ごす機会がありました。その組織ではあることが顕著でした。誰かが少しでも感情を言葉にすると、すぐに周りがからかいだすのです。
自分の感情を語ることが許されませんでした。すぐにからかわれる。感情を語るのが許されない空気があったのです。
とても素晴らしい組織でしたが、自分の感情を表現できませんでした。容認されていなかったのです。
組織によって文化は違います。冗談を言うことが、容認される組織もあれば、真面目さが求められる組織もあります。
その組織で冗談を言ったりふざけたりしたら、不適格と見なされ、周りから容認されません。
正反対の文化も紹介しましょう。
私がボランティアで関わった非営利組織は、感情や自分のことを積極的に語り合う組織でした。しかし、この組織で仕事を効率的に片付けることに集中し、
“語り合うよりも仕事を終わらせたい”
と言ったら、その意見は非難され容認されないでしょう。
組織ごとに文化は違います。そこで質問です。
組織として容認されていない領域はどこでしょう?
どの領域に足を踏み入れるとからかわれ、非難される?
周りの反応から立ち入っちゃダメだとすぐに分かる領域は?
メンバーとでもいいので考えてみましょう。そして整理するのです。
その文化の利点は何?
犠牲になっているものは?
自分の感情を見せない代償や、冗談を言わず効率を重視する代償は?
全体性の目標はどんな文化であれ、適したタイミングで正しく導入することです。
次は“社会からの期待”についてお話しします。社会的な規範についてです。
なぜなら、ほとんどの組織はその社会の支配的な文化に従っています。その文化を規定するのは、権力を持つ人間たちです。
たいてい権力を持つ人間たちは学歴の高い人間であったり、上位中産階級や白人男性であることが多く、そこから作られる文化はそうした人間たちに適した文化となります。私のような属性の人間に適した文化です。
あなたが私のように白人で高い学歴を持ち、中〜上流階級の人間の場合、気づいてないかもしれません。多くの人はあなたの組織で働くにあたって、“コード切り替え”を経験しているのです。
たとえば女性ならきっと学んだことでしょう。男性が支配的な文化におけるルールをです。
どんなことは言うべきでないのかを学んだり、そこでの役の演じ方を学び、周りの話を遮ったり、男のエゴを満足させたり、たくさんのルールを女性は学んできたのです。男性は、それに気づきもしません。
同様のケースは他にもあります。
労働階級の出身者は昇進に合わせてコードを切り替えます。自分の見せ方や服装を変え、話し方やアクセントも変えて、冗談の内容にも気を払い、管理職としてのルールを学ぶのです。
もし有色人種である場合、アメリカやヨーロッパでコード切り替えを経験します。白人の振る舞いを学びます。痛切に実感しているからです。自国の文化に即して振る舞うほど、痛い目にあってしまうのです。
西洋を例に挙げましたが、どの世界も同じです。どの世界にも文化を規定する支配的な層と、コード切り替えをして順応する層があります。
インドや中国でもルールは違えど、起こる現象は同じです。世界のどこでも同じでしょう。
全体性というテーマで目指しているのは、誰もが自分らしくあれる場の創出です。ありのままの自分でコード切り替えが必要ない場所です。だから次の問いが指針になります。
“わが組織の文化はどうだろう”
“女性や有色人種や低所得層出身のメンバーがコード切り替えをせずに済んでいるだろうか?”
理想的な環境では素晴らしいことが起こります。
私のように文化的に優勢とされる層に属する人間も、つまり白人で異性愛者で中流で高学歴の人間も、より自分らしくいることが許されるのです。
自分が育ってきた馴染みの文化だからではありません。監獄のように強制されるからでもありません。
社会で優勢な白人の中流階級文化では常に自立した人間でなければならず、常に状況を把握し感情を出してはいけない。
そこから解放されるのです。
ですから、ぜひとも次の問いを考えてみてください。
“組織や社会において、何が文化として容認されていて、何が容認されていないでしょう?”
全員がいきいきと自分をさらけ出すとは、各自の経験から持つに至ったような周りとは違う個性だけでなく、育ってきた文化やコミュニティを表現することでもあるのです。
ぜひ考えてみてください。2つの質問を掘り下げましょう。
そうすれば、きっと全体性の実現に向け、壊すべき壁が見えてくるでしょう。
5.Striving for wholeness
5.全体性へのアプローチ
- 5-1 あなたにとって全体性とは?(What does wholeness mean to you?)
- 5-2 全体性を阻む文化の壁(Cultural barriers to wholeness)
- 5-3 全体性をどう語るか(How do you talk about wholeness?)
- 5-4 全体性の模範となる(Role modeling wholeness)
- 5-5 1対1の会話で全体性につながる(Inviting wholeness in one-on-one conversations)
- 5-6 1対1の会話で全体性につながる(Inviting wholeness in one-on-one conversations)
- 5-7 グループにおける全体性の事例(Examples of wholeness in group settings)
- 5-8 全社で全体性を語り合う(A company wide conversation about wholeness)
- 5-9 全体性についてのグラウンドルールをつくる(A document with ground rules for wholeness)
- 5-10 全体性に対して抵抗が起きたら(When more wholeness brings up resistance)
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