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4-4.Self-management: typical issues

4-4-5 メンバーが互いに厳しいとき(Team members are harsh with one another)

2-10の動画で触れた事柄です。そこでも紹介したように、組織が自主経営に向かって変革の旅を進めていくと、安心できる環境で本音で話し合う機会が生まれます。

驚く組織もあるようですが、そこで最初に出てくるのは、過去の傷に対する多くの怒りです。経営陣を信頼していなかったため、初めて本音が出てくるのです。
時には場を作ってすべて吐き出してもらってから、自主経営や信頼獲得に向かっていく必要があります。そうやって新たな領域へと踏み出してもらうのです。その方法を紹介しましょう。

自主経営チームへと移行していくと、メンバーたちが突然、1~2人を厳しく非難することがあります。これも同じ現象です。

これらのチームでは昔から、その人がメンバーたちの悩みの種だったのです。
割り当てられた仕事をせずネガティブで、皆にとって困った存在でした。でもその人はマネジャーから守られるか放置されていたのです。
そのためメンバーは無力感を抱き、長い間、その人に耐えるしかありませんでした。そしてマネジャーの保護が取り除かれた結果、抱えていた怒りがその人に向けられたのです。

多くはありませんが、驚いてしまう組織もありました。噴出した恨みがあまりに深かったからです。これは興味深い現象です。メンバーが各自の意見や力を出せるようになると、たいていは良い成果が生まれます。

でも、やがて影(シャドウ)の部分が出てくる場合があります。
人間の持つ影の側面が出てくるわけです。それも人間性の一部なので、受け入れるのがいいでしょう。

この場合の対処法としては、前もって話し合っておくのがいいと思います。
自主経営への移行を始める前にチームの歴史や怒りについて語り、心の準備をするのです。

もう一つの方法は、最初のチームミーティングにコーチを加えることです。部外者に空間を保持してもらうことで、難しい話し合いがひどい展開になるのを防ぎます。

感じていることを率直に話すのがいいでしょう。
“あなたはずっと、皆の悩みの種だった”
“マネジャーに守られてきたけど、これからはどうする?”

前回の動画で話したようにチームで定期的に話す場を持ちましょう。責任や怒りについて点検し、話し合う空間を設けるのです。

そしてビュートゾルフのように、専門のコーチを何人か用意することもできます。そうすればチーム内で個人的な対立が起きても、コーチを呼べば来てもらえます。
小さい組織なら1人でいい。対立が起きても頼れる人がいると分かっているので安心です。

こうした問題には備えておきましょう。今まさに問題が起きているなら、話し合いに外部の人を入れることをお勧めします。

話をそらすことなく話し合いの空間を保持し、建設的な方法によって過去の痛みや恨みについて語れるようにしてくれます。建設的に話を引き出し、周りに耳を傾け、率直に話し合わせてくれます。
“この関係は修復可能なのか”
“修復不能だとしたら その人は他のチームなどに移るべき?”

その決断はチームに任されます。あくまでファシリテーターで、問題解決するマネジャーではありません。

最後にもう1つ。自主経営でも問題が起きることに驚く人たちがいることに気づきました。すべてが円滑で完璧に進むというイメージを持っていたわけです。

私が思い知ったのは、新しいパラダイムに対しては要求水準が変わるという点でした。
人は新しいパラダイムというと100%失敗はないと思いがちです。

具体的な例を挙げてみましょう。たとえば病気の代替療法があるとします。医者はガンの代替療法に出くわすとはるかに効果があると思いがちです。これは非常に危険です。
治療を行って患者が1人死ねば、裁判にかけられて刑務所行きです。従来の治療で死ぬガン患者は毎日のようにいるのにです。

新しいものには完璧さが要求され、古いものには要求が低いのです。

改めて自主経営について考えてみると、しばらくは人間性の醜い面が出てくるかもしれません。
でもそれは従来型の階層組織でも毎日のように出ていたのです。それに比べると非常に少ない。だから完璧を求めてはいけません。

突然、人間性から影(シャドウ)の側面が消えたりはせず、継続して現れるので対処が必要です。
完璧を求めず “今どれほど問題か”を見ていきましょう。

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