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5.Striving for wholeness
5-4 全体性の模範となる(Role modeling wholeness)
あなたが組織のリーダーなら、全体性に関しては全員から注目を浴びます。
“この人は一体どれくらい本気で”自分を出しても安全な場をつくってくれるだろう?”
また、リーダーは発言以外も見られていて
“安心できない部分はないか”
と周りから探られています。
リーダーは触媒のようなものです。場の雰囲気を決める要因になります。
地位が上の人間はそういう力を持っています。自主経営になればその力は減っていきますが、初めはリーダーが力を持っているものです。
だから、リーダーの振る舞いがとても重要になります。発言だけでなく、存在自体が大切な要素です。
あなたの存在は周りに、ここなら自分を出せると思わせるものでしょうか。それとも警戒させるものでしょうか。
リーダーが全体性の模範となることが重要です。“全体性の模範”には2つのポイントがあります。
“リード”と“過敏にならないこと”です。
まずは“リード”から説明しましょう。
従来と違う文化なので、まずは模範を示してリードするべきです。
会議前に“チェックイン”を行うとします。各自が今朝の気分を語ったり、懸念や悩みを打ち明けたりするのです。リーダーが深い部分を表現すればするほど、周りも深い部分を見せてくれます。
サウンズ・トゥルーの創業者タミ・サイモンはいつも意識していたと言います。まず自分が模範として、深い部分を見せるのです。
たとえば、
“今朝の気分は悪くないよ。渋滞だったけど”
そんな語りだと周りも無難な発言しかしません。
しかし心の奥深くからの発言であれば、周りもそれに従うでしょう。常に模範を示して導くことが重要なのです。
常にリーダーが周りに対して従来の組織では珍しいほど弱さを見せていくのです。それが“リード”です。
もう1つは“過敏にならないこと”です。
どういう意味かというと、リーダーが周りに対して防衛的になり、閉じてしまわないことです。
何かで読んだ人もいるでしょうが、神経科学の世界において脳には2つの回路があるとされています。
1つはオープンで偏りのない領域で機能するもので、大脳新皮質などが該当します。一方、過敏になり恐怖を感じる場合、古い領域の扁桃体が活性化され、ほんのわずかでも安全でないと感じると過敏な状態になります。
こうした2つの状態は会議などを見れば分かると思います。偏りなくオープンに耳を傾ける時もあれば、何かのキッカケで耳も傾けず過敏に反応する時もあります。
そこでリーダーがするべきなのは、常にオープンでいることです。
自分が組織内で上の立場だった場合、周りがナーバスであっても、こちらがオープンであれば周りもそうなります。こちらが過敏に怯えると、周りもそうなります。
リーダーはその場の空気に大きな影響を与えるのです。
リーダーにとって特に難しいのが、オープンでいることです。理由は2つあります。
リーダーには責任がのしかかっているので、正しい方向に進んでいるか不安を覚えやすいのです。それは他の人よりも責任を抱えているからです。
それからメンバーも、リーダーに不条理な期待を抱いています。
リーダーは常に感情を抑制し、弱さを見せず、進むべき道を把握し、決して迷うことなく……。とても過剰な期待です。“みんなが見てる”と身構えてしまいます。
そのため多くのリーダーにとって、この変革は美しい学びの旅になるでしょう。大きな責任や期待に影響されることなく、できる限りオープンでいる方法を学んでいくのです。
例のごとく質問をするので考えてみてください。
どんな状況が、あなたを内に閉じこもり、過敏で怯えた状態にさせるでしょう?
結果が悪い時にそうなる人もいるでしょう。大変な状況のせいでオープンでなくなるのです。
また別の人は、難しい決断を下す時がそうかもしれません。不確かな材料で決断を下さねばならず、不安になって身構えてしまうのです。
あるいはシンプルに、変わった取り組みだから嫌われやしないかとか、傷つけないかと気にして身構える人もいます。長らく私がそうでした。相手を傷つけるかもしれないと感じている時や、厳しい会話をする時は身構えていました。それではいけません。
では、動画をとめて考えてみてください。
どんな時に自分を抑えていますか?
どのようにすれば、現在よりも状況に左右されずオープンでいられるでしょう?
それには3つのステップがあります。
1つ目は純粋な鍛練です。
過敏になって心が閉じていたら、ふたたび開きましょう。閉じた自分を認識するのです。マインドフルネスや瞑想を通して認識する人もいます。自分を観察する方法を確立しましょう。
会議の際、オープンな状態だったのに突然警戒して身が固くなっても、自分を観察する方法を身につけていたら肩の力を抜けます。
書籍ではハイリゲンフェルトの例を紹介しました。ドイツでメンタルヘルス病院を運営しています。
同社に、どの会議室にも“ティンシャベル”があります。会議ごとに誰かがその楽器担当に志願します。担当者の役割は、会議がうまく進んでいないと感じたら、つまり警戒して閉じた過敏な状態になっていたら、ベルの音で自分たちの状態を認識できるのです。
これは素晴らしい慣行です。リーダーだけでなく誰もが状態を認識できます。
これが1つ目です。自分の状態を認識しましょう。
2つ目は、閉じた状態から抜け出す方法です。
人によっては深呼吸をして肩の力を抜き、楽に座り直すだけで済みます。
私にとって一番簡単な方法は、自分の頭のなかの会話を打ち明けることです。
過敏に反応して閉じた状態のとき、周りとは関係なく頭のなかで会話が始まるはずです。周りとは別の会話が展開されます。その会話を伝えるのです。
“これはなかなか難しい会話だと思ってるんだ”
“厳しいフィードバックをするけど、傷つけたくはなくてね”
それを伝えてしまえば、頭のなかの会話は消えます。
“運命を分ける決断だから怖いし、情報も十分でないけど決めるしかない”
“自分の気持ちは表に出したから、本題について話していこう”
それが私の方法です。頭のなかの会話を出してしまうのです。そうすると、すべてを表に出したのでオープンに戻れます。
3つ目のステップは、自分が閉じてしまうキッカケを認識できるようになったら、自分を深く見つめてみるといいでしょう。
周りの人を傷つけてしまったり、傷つける可能性があるだけで過敏なモードになるのなら、その領域を掘り下げてみましょう。何らかの方法で自分の内面と向き合うのです。
何でも構いません。スピーチセラピーでもボディセラピーでもいいので、自分を閉ざすキッカケが生まれた背景を探りましょう。良い対処法になるはずです。
お勧めすると言うよりも、シニアリーダーならぜひ実践してほしいのが、行動を観察してもらいフィードバックをもらうことです。
全体性の実現に貢献する行動か否か、指摘してもらいましょう。コーチを招いて会議を見てもらうのも良いでしょう。あるいは組織の2〜3人に伝えるのです。
“周りに対する自分の影響をもっと知りたいので、フィードバックをくれますか?”
この慣行からは多くのことを学べるでしょう。
もちろん、とても大切な会議の場。たとえば社員が全員集まって大事な議題を1日話し合う場合、ファシリテーターを入れるのもいいでしょう。
もしリーダーが強い確信や自信を持てず、オープンな空気をつくれるか分からなくても、何も問題ありません。多くの組織がサポートを得ています。
組織のシニアリーダーは忘れないでください。
あなたの振る舞いはかなり大きな度合いで周りの振る舞いに影響します。
ぜひとも、しっかりと自分を見つめて周りが自分らしさを出す手助けをすれば、あなたも より自分らしくなり、豊かで美しい人生が送れます。
5.Striving for wholeness
5.全体性へのアプローチ
- 5-1 あなたにとって全体性とは?(What does wholeness mean to you?)
- 5-2 全体性を阻む文化の壁(Cultural barriers to wholeness)
- 5-3 全体性をどう語るか(How do you talk about wholeness?)
- 5-4 全体性の模範となる(Role modeling wholeness)
- 5-5 1対1の会話で全体性につながる(Inviting wholeness in one-on-one conversations)
- 5-6 1対1の会話で全体性につながる(Inviting wholeness in one-on-one conversations)
- 5-7 グループにおける全体性の事例(Examples of wholeness in group settings)
- 5-8 全社で全体性を語り合う(A company wide conversation about wholeness)
- 5-9 全体性についてのグラウンドルールをつくる(A document with ground rules for wholeness)
- 5-10 全体性に対して抵抗が起きたら(When more wholeness brings up resistance)
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