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8.For coaches, consultants and facilitators
8-1 組織にどんなサポートが必要?(What support do organizations need?)
第8章の最初の動画です。この章は特にコーチやコンサルタントやファシリテーターなど、変革を目指す組織を支える人々に向けたものです。これも長い動画シリーズにできる内容です。語れることは、たくさんあります。どんなコーチやコンサルタントも常に学びの旅の途上にあるため、膨大な時間を勉強や訓練に費やしていますが、ここでは そのすべてを追うことはしません。
その代わり、5つほど具体的なテーマについて語ります。コーチやコンサルタントに会うと、よく話題になったテーマです。多くの人が興味や関心を持つ内容だと思うので、そうした4〜5点について私の考えを語ります。
たとえば次のような点です。
“ティールを目指す組織にコーチやコンサルタントは必要なのか?”
“一緒に取り組んでいるCEOをどう説得すればいいだろう?”
それから学習法など具体的な点について紹介します。
そこで、この動画では“組織が どのようなサポートを必要としているか” を考えます。
初めの方にある 2-15の動画もぜひ参考にしてください。題名は“コーチやコンサルタントやファシリテーターの役割”です。仕事相手となるトップリーダーに向けた動画ですが、役に立つ部分があるはずです。その動画の内容をまとめておきましょう。
組織が必要としているサポートは、大きなコンサルティング会社による本格的なチームでもなければ、場当たり的なコーチングやファシリテーションでもありません。組織にとって真に重要なのは、3つのレベルで旅を共にしてくれる人です。CEOの伴走者となる人、経営陣の伴走者となる人、そして組織全体のサポートをする人です。この3つはどれも欠かせません。この3つのレベルで自主経営という新しい世界について考える必要があり、それを考える際には外部の人がいると役立つ場合が多いのです。CEO、経営陣、組織全体と取り組むことの利点は、しかるべき環境が整っているか確認できる点です。
たとえばリーダーからこう言われたとします。
“とにかく組織の一部で自主経営へ動きだしたり、もっとアジャイルや感覚と反応を取り入れよう”
すると私の警報ベルが鳴ります。リーダーと取り組んでいないのに、組織と取り組めるか分からないのです。リーダーの振る舞いは決定的に重要なので、片方だけと取り組むのは適切でないですし私は決してやりません。1つのレベルだけでも始めれば関係を広げていけると言う人もいますが、あまりうまくいかないことが多いです。このように、組織には3つのレベルでサポートが必要です。
必要なものは他にもあります。最初は一緒に組織の可能性を深く探っていきましょう。サポートを求めてきた人と会話をするのです。その人が組織内で影響力を持つCEOであれば嬉しいものです。その相手と深く会話して希望や不安を掘り下げていき、関係を築き、自分を知ってもらい、さまざまな選択肢を検討しましょう。
なぜなら最初に寄せられる相談の内容は、きちんと練られていない不完全なものが大半だからです。相談したCEOは悪くありません。新しい物事なので深く掘り下げ、内面と向き合う必要があるのです。
“あの組織は知ってるけど、うちも同じことをするの?”
“自主経営について考えてみたけど、他にもっと深い願望があることに気づいた”
どんなときであれ組織に必要なのは、コーチなどが十分な時間や場所を確保して、組織の真の可能性や願望を明確にすることです。そこでコーチたちは普段同様の役割を持ちます。真実を語り、相手に鏡を掲げて、盲点に光を当てるのです。
1つ、避けるべきなのは安全策をとって遠慮することです。自分の中にわだかまりや、言えてないものがある場合は、リスクをとって伝えましょう。たとえば私はリーダーにこう伝えたことがあります。
“組織に変わってほしいと願っているようですが、あなた自身に変わる準備ができてないように感じます”。
こうして正直に伝えたり、メンバーたちの動機を確かめたりするのです。つまり逃げることなく、他の人がしないような難しい会話に取り組むのです。愛と思いやりをもって実行すれば、想像もつかなかったような扉が開いていきます。さらに大きな信頼も得られます。リスクをとって関係に向き合う姿勢が伝わるのです。たとえばリーダーは、ほとんど真実を告げられたり、盲点を指摘される相手がいないため、あなたが愛と思いやりを持って伝えれば大きな信頼が築かれることになります。
他に組織に必要なこととしては、別の動画でも語ったように“コンサルティング”や“コーチング”ではなく、いわゆるコ・クリエーション(共創)に取り組むことです。組織は旅の伴走者を必要としていて、その立場は新しいものです。状況に応じて介入しては去っていく、コーチとは違う立場です。ファシリテーターの立場とも違います。ファシリテーターはもう少し中立的です。介入してプロジェクトを仕切るコンサルタントとも違います。組織全体と旅を共にしていく存在なのです。
組織のためにリスクをとったり、組織と共に実験し、成功し、失敗し、学んでいく。そして常に外部の視点を忘れず、内部の人が言いにくいことも指摘していくのです。組織と旅をしながら専門知識を注入していきましょう。これは面白いポイントです。
よく、次のような誤解があるからです。
“特にティール組織などの新しい世界では、すべての答えは組織内にあるため、コンサルタントは全部に答えを与える必要はない”
確かに全部は不要ですが、多少の答えは必要です。自主経営には多くの人が初めて経験する要素もあるため、専門知識を適切に注入する必要があるのです。
“助言プロセスという方法があり、このように進めていきます”
“自主経営組織は、対立にはこう対処しています”
このように専門知識を適切に注入するのは価値あることです。
それができる人を呼んだり、この動画シリーズを紹介するのもいいでしょう。
最後にもう1つ。組織が必要としているのは、“四象限”に対するサポートです。
四象限に関しては2-2の動画で語っているので繰り返しません。四象限が何のことか分からない場合は、2-2の動画を見て戻ってくるのもいいでしょう。なぜなら何か1つの象限を真剣にサポートする場合、四象限すべてに精通する必要があるからです。
当然、個人には偏った“好み”があり、盲点とは言わずとも自分が目を向けにくい領域があります。しかし、どんな領域のことでも把握できるべきです。たとえ、自分の好みが内面的な領域であり、トップリーダーの内面を探ることが好みであっても、“今 必要なのはもはや内面の対話ではなく、別象限にある意思決定プロセスだ”と気づかねばなりません。逆に、システムや慣行が好みの場合でも次のように気づく必要があります。“ぜひ組織のカルチャーについて真剣に話し合いましょう”“優れた慣行を用意してもカルチャーが邪魔をしたら問題なので、話し合いましょう”。サポートをする際にはすべての象限に長けておらずとも、4つをよく知っている必要があります。不得意な部分は別の人で補い、システムや慣行が得意な人を連れてきたり、より知識のある人と力を合わせるのです。組織には四象限をよく知った人が必要で、サポートする人 改善が必要な領域を特定する力を持ち、状況に応じて助けを呼びましょう。
それは大変な作業です。組織の根本的な変革をサポートするのですから。あなたも腕を上げる必要があります。優れたコーチだとか、優れたファシリテーターだとか、カルチャーは得意だ、システムは得意だ、という1分野だけではなく、四象限をよく知りましょう。
8.For coaches, consultants and facilitators
8.コーチ・コンサルタント・ファシリテーターに向けて
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