ビデオシリーズ

Video Series

ホーム > ビデオシリーズ > 6-1 存在目的の真の意味(What evolutionary purpose really means)

Top page

6.Evolutionary purpose

6-1 存在目的の真の意味(What evolutionary purpose really means)

まず今回の動画では“存在目的”の意味を明確にしましょう。この言葉は至る所で誤解されているようで、こんな声を聞きました。“うちは存在目的を掲げているから、目的意識は明確だ”。それは存在目的ではありません。たんに明確な目的意識を持つこととは違うのです。そうではなく、新たな視点で組織を見ることです。組織を生命体と見なし、その目的に耳を傾け続けるのです。

詳しく説明しましょう。現在の組織運営で優勢なパラダイムは、機械的な達成型(オレンジ)パラダイムです。組織はしばしば機械にたとえられます。機械は無生物なので、エネルギーを与えないと動きません。行動や進むべき方向もプログラムする必要があります。それが従来の経営方針の基盤です。すなわちリーダーの役割とは、明確なビジョンや戦略を立案して、組織全体を それらに従わせること。そうしてビジョンを実行するのです。ビジョン・戦略・実行。それが現在の経営の基本と言えるでしょう。

ですが、新たに発生してきた進化型パラダイムでは組織を無生物とは見なしません。プログラムすべき機械ではなく、生命体であると考えます。生き物であり、生態系を持っています。それ自体がエネルギーや進むべき方向性を備え、世界に何かを表現したいという欲望を抱いているのです。従って経営の基本も完全に変わります。リーダーの役割は、未来を予測しコントロールすることではなく、もっと単純で控えめなものになります。つまり絶えず耳を澄まして、存在目的が呼ぶ声に耳をすますのです。リーダーはその声の方へ組織と一緒に向かえばいい。従来の考え方とは根本的に違います。組織の捉え方も組織との関わり方も違います。馴染みがなくて奇妙な話に感じる人もいるでしょう。でもクリエイターやアーティストは、まさに こういう発想です。彼らが言うには、歌や小説などのアイデアは不意に向こうからやってきます。気づくとそこにあるものだそうです。彼らは表現の媒介者として選ばれたのです。“本を世に出す者”に選ばれたのです。

同じことが組織の存在目的にも言えます。組織は何かを世界に発信するために選ばれたのです。我々は、すでに存在する何かの表現者になるだけです。歌を作り、小説を書く作り手たちと一緒です。組織が目指すものに耳を澄ませ続けましょう。より具体的な言い方をすると、“予測とコントロール”から“感覚と反応”のパラダイムに移行するのです。科学革命や近代化は我々にこんな教訓を遺しました。“世界 自然 未来を予測し、コントロールせよ”それを機械のように実践しているのが、未来を予測し統制する従来型組織なのです。

ビジョンを決めて、5〜10年の戦略を立てたりする。3年の中期計画や、年次予算やKPIを設定したり、月次の予算対比表を作成したりする。もちろんインセンティブやボーナスや自社株はそれらの計画と連動します。どんなときもまず未来を予測して、その実現に向けて動いていく。それが予測とコントロールです。ですが現実の世界は複雑で、変わりやすく不確かです。完璧な計画など立てられません。こんなに不確実な世界で計画を立てても、3ヵ月後には期限切れになるでしょう。今こそ感覚と反応のパラダイムに移行する時です。存在目的が我々に何を求めているか、絶えず感じ取るのです。外の世界や組織内で起こる変化を絶えず感知し、反応し、適応しましょう。それがもたらす影響はとても大きなものです。

『ティール組織』のなかでは、各慣行がもたらす結果を記しました。戦略とビジョンを立て続けるとどうなる?予算を組みターゲットを絞ると?あるいは存在目的に耳を傾けると、採用や実績評価にどんな影響があるか?これらの慣行のほとんどは進化させる必要があり、存在目的に耳を傾けていく必要があります。伝えたいのはこうです。“存在目的”とは目的の明確化だけを指すのではありません。もちろん目的が明確なら予測してコントロールできるでしょう。でも、それに加えて絶えず耳を傾け、“感覚と反応”へ移行しましょう。この動画シリーズでは本で書いた内容は繰り返しません。該当する章を再読してください。

今回、語りたかったのは、読者との対話で気づいた存在目的への誤解や実践者たちから得た学びです。彼らは組織の存在目的に耳を傾け、感覚と反応に移行しています。

RELATED TAGタグで調べる

RELATED KEYWORDキーワードを詳しくみる

Others

その他お知らせ