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7.If the ceo is not on board

7-3 交渉して守られた空間を得る(Negotiate a protected space)

この章の最初の動画で、基本的に方法は2つだと話しました。
自分がいる領域を変革するときの方法は、経営トップの承認を得るか、もしくはこっそり実行するかです。

今回はトップの承認を得る方法について紹介します。基本的にはトップの人々と話して交渉をしていきます。従来と違う働き方ができる守られた空間をもらうのです。これは多くの人が実践しています。
決めるべきは基本的に2点です。

まず1つ目は、トップの人々と契約のようなものを結ぶこと。
一任してもらう代わりにどんな成果を出すか約束するのです。現代の成果主義の組織では、何より結果を出すことが求められます。
結果を出せば干渉されず、自由にさせてもらえます。

それが1つで、もう1つの点は、システムのどの部分において自由裁量を得たいのかです。
それはたとえば、次のようなことです。組織内の各種サポート機能についてあなたは言うのです。
“人事に関することは全部、私の自由にしたい”
“採用や育成 さらには業績管理も自分の方法でやりたい”

給与の決め方も入るかもしれません。そうしたことを交渉します。あるいは、“集中購買には関与せず必要なときに自分で購入する”と伝える。
さまざまなことが交渉で契約に含まれます。

話すべき要素は2点で、1つは 上への約束。もう1つは、どんな自由が欲しいかです。
それを話し合い、守られた小さな空間を得るのです。あなたが比較的、独立した部門にいるなら、楽に自由を得られるでしょう。

本の出版直後、南フランスからメールが来ました。ITサービスを提供するIT企業からでした。その人はトップとの交渉が成功し、取り組み始めて数年後もチームで業績を上げ、自由を享受しているようです。
彼が楽に取り組めたのは、各部門が独立性を持つ組織だったからです。より統合的な組織でも大変ではありますが、不可能ではありません。

より統合的な組織の例として、世界的タイヤメーカーのミシュランが挙げられます。
あるとき人事部のバララン氏が組織変革のアイデアを思いつき、自己組織化チームを導入する試みを各工場の38チームで始めました。後に経営トップの承諾を得て、5つの工場では現場全体にこの試みを拡大しました。
このように、大規模で統合された組織でも可能です。

承諾を得る確率を高めるにはうまく提示することです。
うまく提示するには、実験室という考えを伝えることです。経営トップが懸念する事柄を実験する場です。

これは自分のためのみならず、上層部の懸念を解決する実験だと言い、守られた空間を得るのです。
実際にやることは十分、理解されないかもしれませんが、彼らが理解できる言葉を使うことが重要です。

たとえば上層部の懸念は、チームに革新性がないことや、スピードが不足していること、従業員のエンゲージメントが低いこと、官僚的すぎることなどさまざまです。
トップの懸念を踏まえて、彼らが分かる言葉で“実験する”と説明します。

バズワードを取り入れてもいいでしょう。“アジャイル”といった言葉を持ち出してもいい。
何やら先進的な実験をするチームがあるのは、おそらくトップも歓迎します。社外のCEO仲間に自慢できるからです。
“アジャイルの実験プロジェクトを導入してみたんだ”
それは守られた空間を得る後押しになります。

ミシュランではバラランがよく理解していました。
ミシュランには長い歴史があり、そこには強固な家父長的企業文化や、家族経営の文化があったのです。その文化が崩れ始めたのは、大規模な効率化プロジェクトが成功した時でした。全工場に効率化が導入されて、標準化と効率改善が行われました。
しかし、その代わりに昔の温かみのある文化が消えてしまったのです。

それで従業員エンゲージメントが大きく低下したため、経営陣に成果を出すことを約束して実験チームが生まれました。
“試しに現場で自由裁量の自主経営をやらせてくれれば、従業員の勤務意欲を引き上げていき、以前のような強く前向きな企業文化にする”

経営陣は答えました。
“成功すれば、すごくうれしい。今より悪化しない限り進めてくれ”
そうして契約が結ばれたのです。

以上が 私からの提案です。経営陣と契約を結ぶことを考慮してみましょう。
そして、彼らが懸念している問題とリンクさせて話すのです。あなたの部門で問題が解決すれば、彼らも有効だと気づくでしょう。

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