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6.Evolutionary purpose

6-8 戦略的計画の立て方(How to do strategic planning)

前回はこんな問いを掘り下げました。
“今後も戦略的計画は必要か?”
大抵の場面では不要ですが、必要なときもあります。ただし当然ながら計画を立てる際は、従来の“予測とコントロール”に基づいてはいけません。そこで今回の問いは、
“どうやって感覚と反応に基づく計画を立てるか?”

スペイン・バスク州発のある自主経営組織は独自の方法を持っています。戦略的計画より、戦略的思考を重んじるのです。それも良い案です。私は、ある製造企業とこの問いを掘り下げました。
“どうやって感覚と反応に基づく戦略的思考を実践するか?”
その結論をシェアします。

まず、こういうことが言えるでしょう。従来の戦略的計画には3つの要素があります。

1つ目は“感じ取ること”
世界や組織の今をありのままに感じることです。
これが従来の計画立案では疎かにされています。あまたのコンサルタントや賢いマネジャーたちは、単なる面接や顧客訪問を“感じること”と呼んでいるのです。

しかし、それでは実にたくさんの組織内知識や集合的な知恵を取りこぼしてしまいます。
つまり…もっとうまく感じ取ることができるはずです。すでに自主経営に転換している組織であれば、各々が自主的に感じ取っているでしょう。しかも継続的にです。

ですが大規模にやってもいいでしょう。
たとえばメンバーたちを積極的に社外に行かせて、多様な人々と交流させる。あるいはワークショップを開き、たがいにインタビューし合う。数週間から数か月ほど外の世界と交流し、撮影してもいいでしょう。
できることを何でもやってみるのです。

専任の担当者がいる組織もあります。FAVIでは若手作業員がみずから提案しました。
“私は世界を旅して、新たな顧客やテクノロジーを探したいです”
この話に感化された別の会社は“戦略室長”という役職をつくろうとしたので、私は必死に止めました。それでは役割が固定されてしまいます。残りのメンバーが感じ取るのをやめてしまいます。

役割を設けるとしても、その人に何の決定権も与えてはいけません。単に、みんなの先導役として旅を牽引してもらいましょう。それが1つ目です。
コンサルタントやマネジャーのみならず、組織全体で感じ取りましょう。

2つ目の要素は“統合”です。
これは一定期間ごとに集まって全員が感じてきたことをまとめる作業です。

“みんなが感じ取った事柄が示す行く先は?”
“環境やテクノロジーが変化するなか、どの方向に進むのが存在目的にとって最適だろう?”
この統合もまた、参加者が多いほどいいでしょう。数百人であれ、できるだけ多くを1つの部屋に集めて、各自が感じ取ったものを統合し、方向性を探るのです。

優れた例を本で紹介しました。ホラクラシーワンです。
そこはホラクラシー型の小さな組織で、定期的に全員で丸一日、集会を開きます。午前は感じることに集中し、その後、統合に移ります。
その際に大事なのが、反対意見を出すことです。たとえば、“一般的に考えたら、あっちよりこっちを選ぶよね”といった感じです。

具体的には、
“我々は従来予測可能な範囲で革新してきた”
“さらなる革新を目指すより標準化を進めてはどうか?”

または、こんな意見もあるでしょう。
“新規開拓より既存顧客に集中すべきでは?”
“パソコンより携帯の体験を重視すべきでは?”

対立する意見を検討して、議論を深めるのです。大勢が集まれば、統合を通じて見解や方向性が定まります。全員に正しい方向が分かります。

単に反対意見を言うだけではないのです。でも一般的には、そうなりがちです。
統合のやり方はこれ以外にもありますが、全体の感覚を統合する場面も必要になるでしょう。そうして進むべき方向性を整理するのです。

3つ目の要素は“プランニング”です。
これは、従来の戦略的計画や予測とコントロールの世界でやりすぎる傾向があります。何から何まで計画し、指標を作り、数量化してしまうのです。

プランニングの要点は、こうです。
数量化したり計画を立てるのは、いま必要な決断に使う場合に限りましょう。
たとえば こんな決断です。“新工場建設か大型の設備投資か”その判断には数字が必要です。

新工場や設備の想定効果は?
生産量や必要なコストは?

この手の判断には、計画や数量化が必要です。複雑なプロジェクトにも役立ちます。作業が複雑に絡み合う場合、最初に計画を立てて方向性を示す必要があります。

ただし、習慣に流されて計画してはいけません。
本当に計画が必要かよく検討してください。不要なら “感じ取り”、“統合”すれば十分です。

つまり、この3つの要素から従来の組織を見ると、感じることと統合が手薄で計画・数量化が過剰なのです。

今後は、より大人数で感じ取りましょう。統合も、頻度はさておき人数を増やすのです。そして計画は最低限にしましょう。決断が必要な場合のみです。
使えそうな面白い慣行をいくつか紹介します。どれも従来のプランニングにはないものです。

たとえばU理論は確実に役立ちます。
前に説明したので詳細は省きますが、U理論は何かを感じたり統合を行うときに、瞑想や誘導視覚化などを通じてイメージを得る方法です。システム療法を用いることもあります。

U理論で成長した組織もあります。今は半信半疑でも彼らのレポートを読めば、何かひらめきが得られるでしょう。
あるいは、たとえば組織の創業者が組織の方向性を直感するソースとして認知されている場合、どれだけ大人数を巻き込んでも、源泉たるソースの力を軽視してはいけません。詳しくは以前の動画を参照してください。

フランスにトスカーナというグループがあります。
彼らがいつも大事にしているのは、“頭・心・直感”の3つです。彼らは何かを感じたり統合を行う際、3つの角度から物事を捉えます。頭だけで考えるよりいろいろ気づけるはずです。

以上が、私の考える戦略的計画の立て方と新しい世界における戦略的思考の方法です。

最後になりますが、統合は一度だけでなく、繰り返し行うものです。年に一度でもいいでしょう。
自主経営となり全員が感知機として動いていると、前年に行った統合を見直したくなるのです。アップデートが必要かもしれません。

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