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6.Evolutionary purpose

6-6 見せかけのパーパス(Fake purpose)

“パーパス(目的)”という言葉を聞く機会が増えました。関心が加熱しています。
どの組織もパーパスを打ち出さねばと感じ、従来のミッション・ステートメントの改良に挑んでいます。さらに場合によっては、パーパスドリブンの組織を目指す理由が、世間へのアピールや社員のモチベーションアップだったりします。
それらの大半は、“見せかけのパーパス”だと言えるでしょう。

そもそも存在目的は宣言するものではなく、感じ取るものなのです。
どこか内側に耳を傾けて、組織が望む姿や貢献を認識するのです。

でも多くのステートメントには存在目的が反映されていません。
見せかけのパーパスを見抜くのは簡単なことです。その組織が掲げるステートメントが既存事業を包括するものであるなら、見せかけのパーパスでしょう。
なぜならパーパスを作るとなれば、自社の既存事業を列挙して美辞麗句で包もうと考えるだろうからです。それは何の選択も迫ってきません。

自社のパーパスを顧みた時、もし自分たちの仕事内容を洗い出したうえでひねった表現で包むだけなら、存在目的とは呼べません。
真の存在目的とは選択を迫るものです。

私は最近、ある会社の新CEOと話しました。世界的に有名な大手企業です。彼女は自分たちが定義した組織のパーパスを私に語ってくれたのです。
それは非常に耳触りがいいものでした。でも彼女自身は何かが違うと言いました。“研ぎ澄まされていない”と言うので、私は同意してこう言いました。

“もし、それが真の存在目的であれば、何事にもイエスかノーの選択を迫ってくるはずです”
“御社のステートメントは包括的すぎて、何かにノーと言う際の指針にならない”
彼女もそれを認めました。

あなたの組織はどうでしょうか?
あいまいで包括的すぎるステートメントなら、判断の役に立たない見せかけのパーパスです。

他にも見せかけのパーパスを見抜く方法があります。世界に対して有害な行為を許容しているか否かです。実際、現在のビジネスの大半は商業分野だけでなく非営利活動や教育、医療などきわめて破壊的ものばかりです。これこそ、一番に話し合うべき問題です。
そこで3段階のテストを考案しました。自分の組織のビジネスが世界に有益か有害かを調べるものです。

第1問は 次のようなものです。
売上について想像してください。あなたの組織が提供するものが、マーケティングを禁じられたらどうなるでしょう?

たとえば、コカ・コーラの売上は広告が消えるとどうなるでしょうか。もし あなたが売上を伸ばすために広告へ何百万ドルもつぎ込んで偽りのニーズを創出しているとしたら?
本当には必要のない有害な製品かもしれません。

2つ目のテストはこうです。
消費者があなたの製品やサービスを購入する際、製造工程のビデオを5分間見る必要があるとします。コカ・コーラの場合は投入する大量の砂糖や、ペットボトルが海を汚染する様子を見せます。1,000年近くも残るような汚染です。水資源を大量消費するところや、瓶詰め業者の劣悪な労働環境も映し出されます。
密かにロビー活動を行う場面も描かれます。コカ・コーラ社に対して成分表示を迫る動きや不買運動を阻止するためのものです。

これらを消費者が見たら、売上はどうなるでしょう?

そして3つ目のテストです
もし製品やサービスがフルコスト表示になったら?

もしコカ・コーラの価格に、肥満の代償などが含まれたらどうなるでしょう。水資源の本来のコストや環境汚染の代償が価格に含まれたら?それでも売れるでしょうか?

自社のビジネスを見直せる優れたテストだと思います。不穏な答えが出るかもしれません。今回はコカ・コーラを槍玉に挙げましたが、多くの大企業に当てはまる真実です。

考えてみてください。その破壊的なビジネスの本来の目的は?
またコカ・コーラを例にしますが、彼らのパーパスは世界に幸せや晴れやかさを広め、さわやかさを提供することです。

私に言わせれば、それは見せかけのパーパスです。
本当に存在目的に耳を傾け、世界が組織に何を求めているか聞いたら、今とは違う企業になっているでしょう。コカ・コーラはあくまで一例です。ぜひ自分の組織を見つめ直してください。

今回伝えたいのは“簡単に目を背けないこと”です。

テストで気づくかもしれません。
“世界への貢献というパーパスに自社の事業は反しているかも”
簡単には解決できない問題です。ビジネスの大半は破壊的ですが、多くの雇用を支えています。もし明日コカ・コーラが製造を停止したら?大勢が路頭に迷うので、悩ましい問題です。

ですが、ぜひとも、見せかけのパーパスを掲げず、難問と向き合いましょう。

“自分たちのビジネスは有害だ”
“解決法は見えないけれど、“問題から逃げずに耳を傾けてみよう”
“真の存在目的となるような答えが出てくるときまで”

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