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6.Evolutionary purpose

6-5 存在目的を探求する方法(How to determine purpose)

それでは今回は、存在目的を明確にする方法を紹介しましょう。2つの問いについてお話しします。
“どうやるか”と“誰がやるか”です。

どうすれば組織の包括的な目的を特定し、聞き取ることができるでしょう?
組織の存在目的を聞き取るプロセスは実に謎めいたものです。経験者の話によると、存在目的は深い所から不意に湧き上がるそうです。突然 “これだ”と感じるものが現れる。
つまり存在目的とは論理的な分析で特定するのは不可能なのです。

ここで役立ちそうなのが、U理論のアプローチです。これはオットー・シャーマーが提唱した理論で、U字型になぞらえた変革プロセスです。

人はまず論理的に物事を捉えてこの世界を理解しようとします。それで自分の知覚を満足させるのですが、一度、U字の谷底に下りてみるのです。自然の中を散策したり、沈黙や瞑想の時間を持つのです。視覚化瞑想(ガイデッド・ビジュアリゼーション)もいいでしょう。
すると自分の深い部分から何かが湧き上がります。まさに瞬間的にあるべき姿に気づくのです。
そしてU字を右に上がった時、組織や世界に貢献する方法が見えるのです。

こうして心の奥から存在目的が現れるのですが、目的やビジョンには3つの要素があります。
頭と心、そして腹の底。つまり直感です。

私には確信があります。存在目的の特徴は“心”があることです。
エモーションに満ちています。ラテン的なエモーションがあなたを突き動かし、あなたに呼びかけるのです。
熱を帯び “これだ”と感じる存在目的を探しましょう。存在目的には心や直感的な要素があり、頭で考える抽象概念だけではないのです。

ですから、お勧めしたいのは、U理論を用いつつ直感を信じることです。コーチやコンサルタントを見つけ、手伝ってもらうのもいいでしょう。
そうして組織の存在目的を探りだすのです。

2つ目は面白い問いです。“誰がやるか?”
存在目的を聞き取るのは誰でしょう?
組織の存在目的を受信して、明確に把握するのは誰でしょう?

これは非常に興味深い点です。
もし自主経営を実践する組織であれば、みんなを集めようとするはずです。社員が一丸となって耳を傾けるのです。
それも確かに大事なのですが、“ソース/源泉”も大切な要素です。

1-10の動画でも触れましたが、ソースはピーター・カーニックが提唱した概念です。
私は『ティール組織』執筆後にこの概念を知り、刺激を受けました。彼はソース原理の有効性を数多くのワークショップで証明しています。
参加者は世界中の起業家たちです。カーニックいわく、どんな組織にも“ソース”という存在がいます。その人は感覚的な部分にダイレクトに近づける人です。特別な“情報チャネル”が組織にふさわしい決定をソースに教えてくれるのです。

わかりやすい例がスティーブ・ジョブズです。まさにソースとして、アップルを未来に導きました。
ジョブズが抜けて低迷した同社は、のちに彼を呼び戻しました。つまり、どうやら各々が完全に自律した自主経営組織にさえ、優先的に情報チャネルへ近づける人がいるのです。それが現実だと認識すべきです。

ご存じのとおり、自主経営組織ではソースであっても権力は持てません。助言プロセスに従う必要があり、押し付けはできません。
ソースはあくまで組織が活用する資産なのです。
周りはソースを心から敬い、明確な助言や指示を求めようとします。その助言は個人の意見ではなく源泉の見解だからです。つまりソースは区別を学ぶ必要があります。

“自分の言葉は源泉から湧き出たものか”
“それとも単に自分の好みやエゴによるものか”

ある組織を買収すべきだと語る場合、それは成長を望むエゴでしょうか。それとも源泉から直感したものでしょうか。あくまでソースは組織の資産であり、権威はあっても権力はありません。
なので2種類の力を生かすといいでしょう。

1つはソースの人だけが特別に持っている聞く力。もう1つはグループ全体の聞く力です。
どちらも尊ぶのが最良のプロセスだと思います。意見交換をしたり、ソースをグループに招いて、ソースの意見を聞く時間を設けるのです。

ジャン・フランソワ・ゾブリストに実践例を聞きました。
FAVIの存在目的を探求するとき、彼らは毎週金曜日に集まって存在目的に耳を傾けました。ゾブリストは参加者の1人でありつつ、組織におけるソースの役割も担っていました。双方の力を生かして耳を傾けたのです。

つまり、2つの要素を意識するのが賢いやり方だと思います。前回の動画でも語りましたが、私 この旅に出ることを勧める対象は存在目的を受け止める意志がある場合だけです。
その準備がなければ、旅に出ないでください。

前回語ったように、多くの組織はとても破壊的で真の目的に耳を傾けようとはせず、既存の事業を基に漠然と企業理念を掲げています。
“こんな製品やサービスを作っているから、ひとつにまとめる表現はこんな感じかな”
そんな偽りの企業理念は何にも耳を傾けず、現状を述べただけのものです。

最後に興味深い話をしましょう。
私が調査したFAVIやモーニング・スターは、存在目的と事業内容があまり結びついていません。モーニング・スターはケチャップを作り、FAVIは車のギアボックスの部品を作っています。
ですが 彼らの真の存在目的は“相手と関わり合うこと”です。
どうやって自主経営を実践し、どう組織内で他のメンバーと共存していくか。とても興味深い存在目的です。日常製品を作る多くの組織に見合ったものだと思います。

これは逃げの姿勢に感じる人もいるでしょう。我々は地球資源を破壊する資本主義に参加しているからです。だから自社の製品を省みたりしません。
それも真実である一方、FAVIやモーニング・スターは見事に進歩してきたとも言えます。

だから組織の存在目的を考えるときは、何を生み出すかだけでなく、どう生み出すかも大切です。
どうしたら人間らしく力を合わせられるでしょう?

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