ビデオシリーズ

Video Series

ホーム > ビデオシリーズ > 6-2 最大化と自己防衛を超えて(Beyond maximization and self-preservation)

Top page

6.Evolutionary purpose

6-2 最大化と自己防衛を超えて(Beyond maximization and self-preservation)

現在、人類は総じて果てしなく、見境なき持続不可能な競争状態にあり、常に“今以上”を求めています。組織にとっては相当なプレッシャーでしょう。特に上場企業の場合は絶えず成長し、利益を生む必要があります。
それはビジネスに限った話ではありません。非営利組織も同じプレッシャーを感じています。

“可能ならあと1,000ドル補助を得よう”
“もっと成長してニーズに応えねば”

私には悲しい思い出があります。本の執筆のため、15年間、複数の組織の経営会議と関わってきましたが、そうした経営会議はたった1度たりとも組織の存在目的についてこう語ることはありませんでした。
“組織の存在目的は我々に何を求めているだろう?”

次のような声を聞くこともありません。
“これは諦めることにしよう。成長を抑えていくんだ”
“存在目的の声に従って利益を減らそう”

つまり多くの組織は、結局のところ利益を最大化することが真の目的です。あるいは問題が起きれば自己防衛が目的となり、組織の存続を最優先します。法律が認める範囲で利益を追求し、不十分なら法律を都合よく変える。
常に“今以上”というプレッシャーがあるからです。

ですが、新たなパラダイムは違います。
組織は生命体と見なされるので成長の論理は通じません。

そもそも自然界に存在する生命体のなかで唯一、成長を続けるものはいわゆる“ガン”だけです。そしてガンは最終的に宿主を殺してしまいます。
恐ろしいことに人類は地球のガンになりつつあります。我々は、この星の許容量を上回り始めています。

自然界というのは常に均衡が保たれています。1つの種だけが成長を続けるという発想は存在しないのです。

木を例にとりましょう。
私は木を切って年輪を見るのが好きです。よく成長した年もあれば、そうでもない年もあります。生物は自然に適応しているのです。

むしろ組織の成長戦略が異常です。
“毎年Xパーセント成長すべきだ”
“毎年同じ投下資本利益率を出すべきだ”

そうではなく、周りの環境や存在目的が何を求めているかに目を向けましょう。
自然界の比喩を掘り下げて考えてみましょう。木や、あらゆる生命体はやがて必ず命の終わりを迎え、新たな命の栄養となります。
組織に置き換えると、とても興味深いでしょう。私から見ると大半の組織はどんな目的を掲げていようが、最大化と自己防衛を基本にしています。可能な限り大きく成長するべきであり、何としても生き抜かねばと考えているのです。

そこであなたに質問です。
今 どちらのパラダイムにいますか?

最大化と自己防衛のパラダイムですか?それとも真の存在目的から考えていますか?

要は“もう十分”と言えるか否かです。
“今は、これで十分だ。成長も利益も必要ない”あるいは
 “この組織は自然の循環の中にいる。死んだらこの身を養分として捧げよう。同じ理想を抱く存在のために”

2つの例を紹介します。1つ目はビュートゾルフの素晴らしい例です。
彼らはオランダの地域看護組織です。ビュートゾルフの“秘伝のタレ”は自主経営の実践方法です。彼らは組織運営を完璧に再構築しました。それが大きな成功の秘訣です。他に強みはありません。
看護師も注射も包帯も他と同じです。従来型組織なら、その秘密に鍵をかけます。
“秘伝のタレをライバルに知られてはいけない!”
それは最大化と自己防衛による発想です。考え方を変えましょう。

もし存在目的が “優れたケアの提供と患者の充実した暮らし” だとしたら?
組織はそれを実現する媒体にすぎません。
そこでヨス・デ・ブロックは本を書きました。ビュートゾルフの慣行をすべて明かしたのです。さらに初版を同業各社に一斉に配りました。今でもビュートゾルフのウェブサイトでは、“うちの運営方法を読んで”と宣伝されています。

奇抜な発想に思えますが、彼らはライバルに真似されたほうがいいのです。市民に良質なケアを届けられるからです。ブロック氏にしてみたら、会社の市場シェアがどうだろうが構いません。
本当に大事なのはすべての患者が大切にされ、看護師が生き生きと働けることだからです。

考え方がまったく違います。彼らは非営利組織なので、上場企業の場合はまた違うでしょう。でも、これこそ存在目的の考え方です。

もう1つ 印象的な事例があります。ベン・カウケンがオランダ語で書いた本に同様の見解や視点が見られました。
彼は公共図書館のネットワークに助言を行っていました。図書館は今、大きな岐路に立っています。電子書籍など読書手段が多様化したため、図書館は自己防衛に必死でした。生き残りばかり考えていた。

ベンは広義の存在目的に目を向けるよう促しました。
図書館の広義の存在目的とは、本・読書・学びへの愛を分かち合うことです。
そうなると公共図書館のあり方も変わってきます。学校や駅に分散させるのもいいかもしれない。

とにかく存在目的に目を向けましょう。

もしかしたら、今のような公共図書館は死なせるべきかもしれない。その栄養を使って新たな生命を育て、変わらぬ存在目的に貢献していくのです。
それが みなさんへの招待です。

最大化と自己防衛の視点から抜け出せますか?
存在目的に沿っていればそれで十分”だと思えますか?
存在目的を生命体としてとらえ、奉仕することができますか?

そうなると自分のなかで組織像が変わるでしょうし、現組織が解体され、それを栄養源とした新組織が存在目的をより良く実現するでしょう。

RELATED TAGタグで調べる

RELATED KEYWORDキーワードを詳しくみる

Others

その他お知らせ