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6.Evolutionary purpose

6-10 予算なしでできる?(Can we do without budgets?)

多くの組織から次のような質問を受けました。
“予算は必要ですか?予算なしでも可能ですか?”

予算なしでいいかという問いが生まれるのは、多くの組織で“予算策定”という作業が年に一度の苦痛な行事になっているからです。
とても時間がかかって多くの対立を生むうえ、無意味だったと感じる場合がほとんどです。できるだけ多くの予算を奪い合う戦いとなり、会社の上層部と中間層に溝が生じるばかりで…
そのうえ もちろん存在目的の観点からすれば、予算は“感覚と反応”を妨げます。1年間、条件を固定するのはナンセンスです。

だから考えてみてください。
“予算は不要?なしでも可能?”
答えはどちらでもあり得ます。前回の“計画”の話と似ています。

予算とは つまり翌年の“資金計画”なので、考えるべきは“組織に必要なものは何か”です。もう少し厳密に言うと、考えるべきなのはどのような予算情報が、いま下す決断に必要とされているかです。
決断に予算情報が不要なら、予算策定は必要ありません。何らかの予測をもとに決断を下す必要がある場合は、専用の予算を設けましょう。全体の予算ではなく必要な分だけ考えるのです。

ビュートゾルフの例を紹介しましょう。
彼らの予算は ごくシンプルで、紙切れ1枚です。なぜなら、とりわけ急速に成長していく場合は、どんな新チームも始めは予算を超過するからです。
そこで彼らは手元の資金と1チームに必要な額を計算し、“最大何チームなら資金内でまかなえるか”を考えるのです。資金計画はそれだけで、ほかには何もありません。

FAVIも資金計画は限定的です。原材料の仕入れに関わる予算が定められていますが、それだけです。

それからサン・ハイドローリックス。フロリダの上場企業です。彼らは予算を設けていません。何らかの予算情報や予測をもとに決断を下す必要がないからです。

それが1つです。予算策定が必要な場合であっても、ティール組織では決して予実分析は行われません。予実分析とはこんな慣行です。

“3月は収益を17.2パーセント伸ばし”
“コストは6.8パーセントだと予測しているが”
“実績値は6.5パーセントも開いてる”

各自の力を信頼する組織では、こうした慣行は無意味なものです。これは運営予算だけでなく、投資予算、つまり資本的支出も同じです。
“本当に投資予算は必要?”
これもイエスかノーかは組織の状況によって異なります。

たとえば、行おうとしている設備投資の総額が健全な範囲内に収まるなら、投資予算の策定は不要です。メンバーを信じ、投資の判断は助言プロセスに任せれば、それで十分です。

一方で多くの資本が必要な産業の場合。
たとえば毎年新しい機械が必要になる場合、助言プロセスだけに任せてしまったら、年度末に予算超過していたり年度の途中で資金が尽きて、良い案に資金が出せなくなり、元も子もありません。
そういう場合は定期的に集まって、たとえば半年や1年ごとにすべての投資機会を洗いざらい検討し、同僚間で話し合って予算内に収まるよう優先順位をつけるのです。
同僚間での話し合いは、『ティール組織』内のモーニング・スターやFAVIの例をぜひ参考にしてください。

大切なのは次の問いです。
“出費が予算を超える可能性はあるだろうか?”
イエスなら予算策定が必要です。ノーなら必要ありません。

最後にもう1つ、面白い問いがあります。予算策定は不要だと考えシンプル化するとして、
“それをいつやるか?”

正直に言うと、これは十分なデータがありません。多くの組織にとって予算は背骨のような存在です。私が懸念しているのは、急いで背骨を引き抜いてしまうことです。
もし組織が成熟していない場合。たとえば助言プロセスを始めたばかりの場合、資金を使いすぎるチームも出てくるでしょう。従来型の組織の多くでは、大金を動かすほど強いマネジャーとされるからです。周りより多く使った方がいいと考えてしまうのです。

そこで重要なのが成熟度です。
“予算決めという苦痛を排除し、皆に任せる”のは大きな変化です。問題は組織の準備が整っているかどうかです。
成熟しているでしょうか。それとも1年待ちながら助言プロセスを定着させ、信頼や成熟を促し、翌年に実行すべきでしょうか。

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